2008/09/25
Rhum::JM編
マルチニーク島の北部大西洋岸、数ある蒸留所の中でも、いちばん北にあるのがフォン・プレビル蒸留所。そこで、JMラムが蒸留、熟成されています。
ここもまた、雰囲気のある蔵で、大西洋岸の幹線国道から、山間の道に入って少し走ると、JMの看板が。さらに入っていくと、谷底ににひっそりとRhum JMの文字が書かれた蒸留所、そして水をたたえた池(バナナの栽培に使うのだとか)などが見えてきます。
いくつかの国内販売サイトの記述を読むと、ここは大手企業グループ傘下ではなく、家族経営の蔵ということですが、蔵に至るまでのムード、気分の高まりは、この蔵の姿勢が感じられてなかなかのものです。
その谷底の敷地を、やや奥に入ると、見学の入り口となる受付兼売店があり、そのすぐ横に蒸留施設があります。蒸留施設、酒蔵などもこじんまりとまとまっており、蒸留所の床の一部は、石畳。大規模な蔵にはない、ファボリットの時にも感じたような、蔵の人たちの息づかいが感じられる雰囲気がなんとも酒好き魂をくすぐります。
入ってすぐ、右手に目につくのが、わりと小さめの蒸留器(カラム)二本。銅製で、75%まで蒸留するそうです。
蒸留工程からすると、順番は逆になりましたが、カラムの対面には17個の発酵槽が並びます。施設全体の雰囲気は年期が入った感じなのですが、発酵槽は新しくピカピカです。ここでは、48時間の発酵。北の方の蔵では、2日の発酵というところが目立ちます。
その左手に隣接して、ムーランがあります。色は明るく、でもトロワリビエールのそれよりはもっと鮮烈で強い青。蔵は深い緑の中に潜んでいて、海や空からは離れているのですが、このブルーは意外と重厚な蔵の雰囲気にマッチしているから不思議です。
小さく切り刻まれたさとうきびは、ムーランで、それぞれ1.5tの重さの歯車によって、900kg/cm2の圧力をかけて絞るのだそう。
ちなみに、大規模だったモニーでは、歯車の1個の重さは3t。ここいらから、蔵の規模、雰囲気が想像していただけるのではないかと。
ここまで上記の説明は、蒸留所内の説明パネルを参考にしたもの。図と文章の2枚があって、文章の方はつたないフランス語しか話せない自分でも、なんとか内容が理解できるような、わかりやすく簡潔な記述で助かります。
さて、敷地のもう少し奥まで歩を進めると、ビューラム用の酒蔵が2つ。内部には冷房が入って、温度管理されています。山間とはいえ、外気が30度以上はある中で、非常に涼しく快適です。
現場で作業中のおじさんに訪ねると、樽はバーボン樽が主だと。ただ、実際にビューラムの香りを試してみると、(クレマンなんかと比べると)割とすっきりと、心地よく熟成された印象。ひねた酒が好きな自分としては、今までなら「なんか普通でつまんないかも」ってなるのですが、この蔵を訪ねた後では、「健全な環境の中で、素直にスクスク育って、いい子ね」って印象に変わりました。
樽には皆、共通の数字が記載されていて、上の電話番号みたいな数字は蒸留年、月、その年の通し番号を表し、下の三桁の数字は樽詰め時の内容量とのこと。「05 11 22/202」は2005年11月の蒸留で、22番目の樽、202lということです。
例によって、蔵の中にはねっとりした甘い香りが充満しており、薄暗い中から96なんて、じっくりと年を重ねている樽を見つけたりすると、心がときめいてきます。
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