2017/11/21

赤ピーマンのムース。

このお料理名を見ると、思わず「なつかしい!」となる方も多いのでは?ある日、直売所でたっぷりの赤ピーマンが詰まった袋をみて、ふとこのお料理のことがフラッシュバックして、レシピを検索して、つくってみました。


食べてみると、手探りで作って、見かけは不細工極まりないにもかかわらず、90年代のフランス料理屋さんで食べた「あの味」がします。当時はバイト代などを握り締めて今以上に気合いを入れてフランス料理屋に出かけていたので、半蔵門にあったあのお店とシチュエーション、席、飲んだワインなどは忘れもしません。


当時はそんなことは知らなかったのですが、ググった感じでは、どうやら元ネタは(王様のレストランのサーモンの臓物パイでおなじみ)ランブロワジーベルナール・パコ氏のスペシャリテで、日本ではコートドールhttps://serai.jp/gourmet/68523から広がって、当時大流行したお料理らしい。


あまりにも美味しかったので、もう一度つくってみました。ゼラチンの加減を強めにしてクネル形にしやすくしてみたり、クリームの量を加減してみたり。トマトのソースはないと味のバランスがとれません、必須です。


今でも、前菜に野菜のムースがあるとついつい食べたくなってしまうのも、このお料理のコクのある甘酸っぱい味が、記憶に染みついているからでしょうね。

雑うまアレンジレシピ。

愛聴しているラジオ番組「ジェーン・スー生活は踊る」の10月の聴取率調査週間(スペシャルウイーク)の企画で、雑うまレシピ選手権という企画をやっていました。「レシピは雑だが役に立つ」ってことで、雑にも程があるけどうまいレシピを募集していました。いろんなレシピが集まって、自分的に乗れるものやイマイチ好みぢゃないものなど沢山紹介されていましたが、「子供と一緒につくるのによさそう(辻希美さん)=レトルトのミートボールを潰してつくる料理」や「病院入院介護中で火を使えない環境等で、レンチン料理は助かる」など、うまいまずいを超えた部分での発見もあるところが良企画だったと思います。

ただ個人的には料理に手をかけることはいとわない性分。雑なレシピは基本的に耐えられず、もう1、2手間かけたくなってしまいます。そんな雑うまアレンジレシピをいくつかご紹介したいと思います。

1焼売ハトシ



1品目は、焼売を食パンで包んでレンチンした肉まんのアレンジ。長崎愛好家として、すぐにピンと来たのは食パン+えび焼売だったらハトシになりそうということ。コンビニのエビ焼売と8枚切りの食パンで早速実践です。


レシピ
  1. えび焼売をパッケージの通りチン。
  2. 食パンに1のえび焼売をサンドし、ラップで包んでチン
  3. 2の食パンを油を敷いたフライパンでこんがりと焼く
雑うまなのでレシピは雑な表記です。

揚げるついでがあればいいけど、焼いただけでも十分にサクサク+プリプリの食感はなんとなくハトシっぽい。流石にえびのおいしさは足りないけど、そこは辛子酢醤油や金蝶ソースをつけていただけば、ビールと一緒に楽しめます。

2鯖味噌ちゃんちゃん焼き
これはすっかりお気に入りで、すでに2回リピートして作りました。元ネタは鯖味噌煮缶とキャベツを炒めただけのものですが、


  1. フライパンに溢れるくらいのキャベツはざく切りに。その分量に合わせて、にんじん、玉ねぎは小さめに切り、しめじなどのきのこはほぐしておく。
  2. フライパンにバターを温め、玉ねぎ+にんじんをジャっと炒め、続いてキャベツときのこをさっと炒める。火は通らなくても、全体にバターが回る程度でよい。
  3. 2のフライパンの上に、鯖味噌缶の汁を回しかけ、身を乗せる。蓋をして強火で野菜に火が通るまで蒸し焼きにする
  4. 鯖の身をほぐして野菜とからめながらいただく
これは美味しい。シャキシャキ野菜と、鯖味噌+バターのコクがご飯にもお酒にもぴったり。ポイントはバターやきのこをやや多めにすると、よりご馳走感が高まり、玉ねぎが多めだと味わいがマイルドになります。そして蓋をしたら強火を全開で一気に。あと、個人的には、鯖味噌缶はマルハニチロの味が、それも月花ではなく並の方が好みです。店頭になくてもスーパー等のPB品がマルハニチロ製のこともままあります。

さて、この2品。思いついた時は「大発見!」と思ったのですが、ググると同じ発想が出てくる出てくる。みんな考えることは同じ、だけど、どっちもオススメです。

3おまけ:クロックムッシュ



ところで、ある日、ベシャメルソースが余ったので初めてクロックムッシュを自家製してみました。食パンに(この日はハムではなくて、冷蔵庫に残っていたトップバリュ)ボロニアソーセージとチーズを挟んで、ベシャメルをかけて焼いて、ってこれも作ってみると、上記2品よりもたいがいにお手軽な雑うまレシピでした。ぶっちゃけ、このカレーパンより楽。

 

2017/10/04

アンティーユ風鮮魚のクールブイヨン

お料理ブログのポータルサイト、レシピブログさんのモニター企画「スパイスと旬の食材で楽しむ秋レシピ」キャンペーンのモニターのお料理第3弾は、サフラン編その2。キャンペーン期間には、ここまでしか間に合わなさそう。

さて、次のお料理は鮮魚のクールブイヨンです。とはいえ、いわゆるフランス料理で思うところのクールブイヨンとはずいぶん印象が違う一皿。端的にいえば、アンティユ風鮮魚の煮込み、といったところでしょうか>アンティユなどの解説リンクは、前のフレンチカリビアン・ホッピンジョンのリンクをご参照ください。


アンティユ風鮮魚のクールブイヨン(2人分)

材料
  • 鮮魚(体長20cmくらい) 1尾
  • 玉葱 1/4個
  • プチトマトまたはミディトマト 2個
  • にんにく 1かけ
  • タイム 1-2本
  • ボアダンドの葉またはローリエ 1枚
  • サフラン 1つまみ
  • パセリの茎 1-2本
  • タイム 1-2本
  • 万能葱 1本
  • 唐辛子(できれば生) お好みで
  • ライムジュース(レモンで代用可) 2個分
  • 白ワイン 1/2カップ
  • 水 適量
  • 塩、胡椒
  • オリーブ油 炒め用および香り付け用

レシピ
  1. 下ごしらえ1。魚の下処理をして、ライムジュース(半量)、塩とお好みのスパイス、ハーブなどでマリネしておく。サフランは水またはぬるま湯に漬けて色出し
  2. 下ごしらえ2。玉葱はみじん切りと薄切りの中間ぐらいに。プチトマトは4かけに切り種を取る。万能葱は小口切り。
  3. フライパンにみじん切りもしくは潰したにんにくとオリーブ油を入れ香りを出す。そこに玉葱を加えて軽く炒め、水と白ワインを注ぎ、タイム、パセリの茎、唐辛子、ボアダントまたはローリエの葉、サフランと色出しした水、万能葱の白い部分、塩、胡椒、ライムジュースを加えて煮立て、魚を加える
  4. ふたをして蒸し煮にする。ときおり水分が足りなくなったら水を足し、煮汁を魚の上の部分に掛けまわす。
  5. 魚に火が入ったら、皿に取り出す。
  6. 煮汁=ソースの塩加減を調え、美味しいオリーブ油を加えて煮詰め、ソースを魚にかける。万能葱の青い部分を振りかける
今回のお魚は、ハタの類を使用。地方に住んでいると、こんなお魚も比較的手頃に入手できます。ありがたいことです。

食べた印象は、なにはともあれ懐かしい。あのカリブの旅の終盤で、お魚が二匹も乗ったお皿を平らげた夜が思い出されます。飲み物は、白やロゼもよいけれど、スタートにはラム酒をトロピカルフルーツジュースで割ったプランターカクテルもおすすめです。

日本での社会生活を送る上で、翌日の予定を考慮してにんにくを(固まりのまま香り出しして、そのものは食べないようにして)控えましたが、ほんとはみじん切りをたっぷり放り込んで、ガッツリ効かせた方が美味しいとおもいます。

それから、にんにく絡みで欠かせないのがアイオリ風のアンティユ風のソース。アイオリにたっぷり生のチリを入れるとできあがり。白ワインの段階に進んでいれば、お魚にこのソースを付けていただくと、辛さも相まって、ガンガンボトルが開いていくかと思います。

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フレンチカリビアン・ホッピンジョン

お料理ブログのポータルサイト、レシピブログさんのモニター企画「スパイスと旬の食材で楽しむ秋レシピ」キャンペーンのモニターのお料理第2弾は、サフラン編です。

サフランを使うといえば、地中海風のレシピはみんなつくるだろうし・・・と思っていたときに思い出したのが、グアドループゴシエのレストランで食べた魚のクールブイヨン。あれはスパイシーでチリも効いていてエキゾチックで、それでいてどことなくフランス領っぽさもあって、ということで、その筋での攻め方を考えてみた結果、

まず気になったのがHoppin'john。これ、アメリカ南部料理のイメージがあったのですが、豆+ごはんといえば、自分の中ではカリブごはん。しかもアンティーユ(マルティニークとかグアドループのカリブ海のフランス海外県)風ではサフラン色で、きれい。

さらにさらに、夏に長野で買ってきた鞍掛豆(=ブラックアイドピースの代用できそう)もあるという好条件。とりあえず実作です。


フレンチカリビアン・ホッピンジョン(2人分)

材料
  • 米 1合
  • 鞍掛豆(ゆで) 1/2-1カップ
  • 玉葱 1/4-1/2個
  • にんにく 1かけ
  • ピーマン 赤、緑 各1/4-1/2個
  • 鶏胸肉 100-150g
  • サフラン 適量
  • 塩、胡椒オールスパイス、チリ、ボアダンドの葉(ローリエで代用可)
  • ライムジュース 1個分(レモン汁で代用可)
  • ココナッツミルク(あれば) 大さじ2
*野菜は大きさに応じて適量を使用してください

レシピ
  1. 下ごしらえ1。鞍掛豆を一晩浸水させ、ゆでる(お好みの固さで)
  2. 下ごしらえ2。サフランをぬるま湯or水に浸して色を出す
  3. 下ごしらえ3。鶏胸肉を1-1.5cm角に切り、下ゆで。玉葱は粗みじん。にんにくはみじん切りまたは潰す。ピーマンはみじん切り。チリがフレッシュの場合はあらみじん切り
  4. 鍋に油(今回はピュアオリーブ油)とにんにくを入れ、香りを出す。そこに玉葱を入れてさっと炒め、1の豆と2のサフラン+水、材料がひたひたくらいになるくらいの水を入れて煮る。塩、胡椒、オールスパイスで、大まかな味をつけ、ボアダンドの葉(またはローリエ)1枚を入れ、約5分煮る
  5. 4に洗った米と3の鶏肉を入れ、適宜水を足し、ライムジュースと(あればココナッツミルク)を加え、塩、胡椒で味を調え、好みの米の固さに炊きあげる。仕上げにピーマンを彩りよく散らす

サフラン風なご飯を炊く時など、普段はほぼほぼ代用サフランこと紅花で色をつけるばっかりなので、今回は本物サフランにびびって色が足りなかったかも。とはいえ、オールスパイスやボアダンド(=オールスパイスのフレンチカリブ地域での呼称)の葉の香り、レモンではないライムのフレイバーは、地中海風とはちょっと目先が変わってよい気分。今回は不使用ですが、ココナッツミルクが入ると、よりリゾート感が高まりそうです。


お豆も、ひよこ豆よりもつるんっってして気持ちよく、具材はシーフードでも合いそう。レシピ本などをみると、普通のブラックアイドピースの場合、お豆もサフランで染まって、もっと色目が冴えそうです。夏の豆+ごはんといえば、もっぱらプエルトリコ風のソフリトアビチュエラばっかりでしたが、このお料理もとてもお手軽で美味しい。新しい定番になりそうです。

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2017/10/03

キャベツとスペアリブのミックススパイスブレゼ(蒸し煮)

お料理ブログのポータルサイト、レシピブログさんのモニター企画「スパイスと旬の食材で楽しむ秋レシピ」キャンペーンのモニターのお料理第一弾は、クローブ編です。


スパイス料理の友である名著、The Spice Companionのクローブの項には、オススメのブレンドスパイスとしてMalukuというスパイスが出ています。クローブベースに、ジュニパーベリーと生姜、リコリスの配合。このスパイスで香り付けしたちりめんキャベツがお肉のローストにぴったり、とのことなので、それをヒントに。



キャベツとスペアリブのスパイスブレゼ(蒸し煮) 2人分

  • スペアリブ 500g(骨4-6本)
  • キャベツ 1/4個
  • クローブ(ホール)小さじ2
  • ジュニパーベリー(〃) 小さじ1
  • 黒胡椒(〃) 小さじ1
  • 生姜 大きめ1かけ

レシピ

  1. スパイスを粗めに砕き、塩(肉重量の1.5%程)、みじん切りにした生姜と一緒にスペアリブにまぶし、ラップをして一晩おく
  2. 肉のスパイスを払って、油を敷いたフライパンでこんがりと焼き付ける。そのフライパンに残った油で芯ごとざく切りにしたキャベツもこんがりと焼き付ける。
  3. 鍋に2のキャベツを敷き、上にスペアリブを乗せ、2で払ったスパイスと生姜を振りかけ、キャベツがひたひたになるくらいの水を加え、ふたをして煮る。沸騰したら火を弱めるる
  4. 水が減ったら適宜補いながら、2時間くらい煮込む。
  5. キャベツの半分くらいの高さの煮汁で丁度よい味になるよう塩で味を調え、10分ほど煮る

*オプション 煮るときの水にシードルを加えると風味が増しそうです。

スパイスコンパニオンのアイデアと、定番の猪/豚肉とキャベツとごぼうの煮込みの融合レシピ。ジュニパーベリーのさわやかな香りに、胡椒と生姜のシャープな香りと辛み。そこを豊満かつマイルドにまとめてくれる辺りが、クローブの本領発揮といったところです。香り一つで、いつもの煮込みとは全然ちがった華やかさが加わります。


このレシピ、クローブのベースがきちんと効いていれば、ジュニーパーベリーや胡椒、今回用いなかったリコリスなどの部分は、お好みのスパイスへ自在に応用可能そう。アレンジ次第で、欧州風にもアラブ風にも、中華風にも自在に化けそうです。

そういえばクローブって、普段に表だって使う機会はポトフで玉ねぎに刺すか、焼きリンゴに刺すか、飲み物に使うかってくらいですが、実はQuatreepices五香粉、レバノンの7spiceなど、このブログではおなじみのレバニーズにマグレブ、中華には不可欠なミックススパイスには欠かせない香り。このお料理を作ってみて、実は日頃からとてもお世話になっているクローブのありがたさに改めて気づかせてもらえました。

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2017/09/25

へちまを初めて調理した。

先日、地元の生産者さんから、へちまを買い求めました。初めてなので、小さめのものをチョイスしました。いろいろ、生産者さんのオススメや手持ちの調理本や、参考にしているレシピサイトなどを参考にした結果、その小さな一本を二種類の調理法で楽しみました。

へちまと蛤の炒め

有名台湾料理レシピブログのレシピを参考に。


へちまの煮崩れに関してちょっとびびってしまい、形が残るくらいにとどめてしまいましたが、これはちょい煮崩れ加減が絶対美味しい!簡単で、ぜひリピートしたい。すばらしいレシピです。

へちまと豚肉の炒め


材料

  • ヘチマ 1/2本
  • 豚肉 100g
  • にんじん 少々
  • 玉葱 1/4個
  • にんにく、しょうがなど
  • 合わせ調味料(オイスターソース、醤油、紹興酒、スープ、砂糖)
  • 豚肉下味調味料(紹興酒、醤油、重曹、油)

レシピ

  1. 豚肉を下味調味料で和え、30分程度置く
  2. 材料の湯通し(油通しができればなおよし)、へちま、豚肉の順
  3. 炒め。鍋に油を熱し、にんにく+しょうがの香りを出し、玉葱+にんじんを炒める。さらに湯通し(or油通し)したへちま+豚肉を入れて炒める
  4. 3に合わせ調味料、さらに水溶き片栗粉を加えて味をまとめて、仕上げにごま油少々

こちらは、下味をつけたプリプリ豚肉とのバランスで、へちまには食感が残った方がよさげです。

とまれ、へちまってこんなに美味しいかったのですね。というのも、実は昔沖縄料理店で味噌炒めは食べたことがあったのですが、それがあまり好みではなくて・・・ でも、今回の二品はとても美味しく、生産者さんが出店する日にリピートするくらい。

海鮮ともお肉とも相性がよく、うま味を加えただけ応えてくれる懐の深さ。食感の調整具合も奥が深いし、来年の夏にはへちまが食卓の定番になりそうです。

2017/09/14

スパイス料理のモニターになった話。

お料理ブログのポータルサイト、レシピブログさんのモニター企画「スパイスと旬の食材で楽しむ秋レシピ」キャンペーンのモニターに当選し、ギャバン(ハウス食品グループ)のスパイスが届きました。


シナモンスティックサフランクローブの3種類。おまけでビリヤニ用シーズニングも付いてました。モニターは10月4日までにスパイスレシピを考案して、エントリを投稿しよう、とのこと。

応募の意気込みには、シナモンは鶏肉+モロッコ系なエキゾ風味を、サフランは海鮮と合わせてやっぱりエキゾな雰囲気で、クローブはポトフが定番だから野菜との相性を試してみたい、と書いたものの、どうやって活用するかはまだまだ手探りな状況です。

ただ、スパイスといえば去年の世界的大ベストセラー「THE SPICE COMPANION」という協力な味方があります。この三つのページを繰ってみると、あらためてスパイスそのものの基本知識を確かめられるのに加え、応用料理のヒントやミックススパイスでの活用例も。そうか、クローブはこのミックススパイスにするとこんな風に美味しそうだ、などと、ボチボチとアイデアが広がり始めた昨今。

この秋の新しい楽しみが一つ増えました。

ガパオそばめし。

夏はファーマーズマーケットにもよくバジルが出回ります。時折買い求めるのですが、その用途は1/3が中華(茄子の炒めものとか、三杯中巻:イカの炒め)、2/3が鶏のバジル炒め:パッガパオ風な食べ方です。

そんなわけで、鶏ひき肉とありあわせの材料と、普通のスイートバジルでバジル炒めを作った訳ですが、ちょうどその時にはご飯が少ししか残っておらず、素麺を炒めて補充することにしました。

そこでゆであがった素麺とご飯をお皿に並べ、お肉を添えると、ちょっとした遊び心がムクムクと沸き上がってきました。

「これご飯と素麺を混ぜたら、バミセリご飯みたく美味しいんぢゃん?」

てなわけで、素麺を短くカットし、バジル炒めもろともご飯と混ぜ込んでみました。そこに目玉焼きをオン。


結果、これはいける。(炒めてから炊き込んである)バミセリとは風味も食感も違うけど、麺とご飯が混ざった食べ物は、バミセリご飯もコシャリも大好きなので、同じラインで普通に楽しめます。むしろアジア系のテイストには、素麺の細さや食感はよりベターなのかも。

ゆで方はやっぱり、すこし固めが吉な感じ。この後、バジル炒めをする機会は数えるほどしかないだろうけど、ご飯+素麺でいただくことが定番化しそうです。

2017/09/10

台湾の意麺をいただいた。

台湾に旅行にいったお友達から意麺をお土産にいただきました。


台湾の意麺はさておき、かねてより広東の伊府麺は大好きで、インスタントの揚げ麺タイプのうどんで和えそばや煮そば風にアレンジして日々の食生活に取り入れるくくらい。だから、小躍りしたくなるくらい、うれしいお土産でした。

旅先での写真を見せてもらうと、どうやらお肉を煮たものをかけた和え麺で食べられているもよう。そこで手持ちのレシピ本を繰ってみて、手始めはおなじみ聘珍樓関係の「香港粉麺飯」にでてた担仔麺の肉ソースをつくってみました。

そして早速、和えそばで食べてみたところ、どうも味付けで腰が引けてたのか、味のパンチが弱い(ただ、このソースを普通の中華麺を使ってジャージャー麺にしたら、日本風中華として普通においしい)


そこで汁そばにアレンジして、担仔麺の肉ソースを添えると、今度は割とあっさり系な夏の夕方の虫養いにぴったりそうな味とボリューム。この食べ方はとりあえずキープできそうです。


次のチャレンジは、肉ソースに懲りて、しっかりパンチのある味付けのお肉を添えることに。スペアリブを醤油と砂糖とスパイスをしっかり効かせてホロホロになるように煮込みます。そのお肉をゆでた麺にどーんと乗せて、味濃い煮汁をドボドボかけてみますと、


これはんまーい。添えたゆでもやしのさっぱり感も丁度よくフィットします。これはもっとリピりたいレシピです。

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とまあ、いろいろ楽しめている意麺なのですが、いろいろググってみると、そのルーツやら調理法やらにもいろんな説や方法があるようで、なかなか奥深い。さらに日本語でもたくさんの食べ方事例もでてくるでてくる。今はゆでただけで食べているのだけど、台湾でも一度揚げてから調理する方法があるそうで、そうするとあの大好きな広東の伊府麺が完全再現できるのかも。

そうしたら、頑張って上品な上湯つくって、すっきりした白い麺とスープの中に、ほんのりと黄にらの色が映える、香りも口当たりも味わいもやさしい、最高の煮そばをいただいてみたいものだと夢見る今日この頃です。

*追記 10/09/2017
そういえばググっている中で気になった、タウナギ入りの意麺。ひょっとして、10年以上前の台湾旅行で食べたこのおそばも、思い返せば意麺だったような気がしてきました。



 

最近の無限ピーマンのつくり方。

昨年の大ブーム以来、すっかり定番つくりおきとなった無限ピーマン。ツナ缶は、長年の定番、チュニジア風ツナサラダ以外には、ほぼこのお料理でしか消費されません。

もう何度作ったかわからないくらいですが、いわゆる標準的なレシピからアレンジされたオリジナルレシピが確立されつつあります。



無限ピーマン・マイレシピ
材料

  • ピーマン 2-3袋
  • ツナ缶 小1缶
  • 油(ツナがノンオイルの場合) 少々
  • がらスープの素(化学調味料無使用) 大さじ1



  1. ピーマンのへたや種を取り除き、ざく切りにする
  2. 大きめの容器(いつもはラーメンの丼を使用)にピーマンの1/3量、上にツナ1/2量を乗せ、油とがらスープの素1/2量を振りかける。次に1/3量のピーマンと残りのツナを重ね、残りの油とがらスープの素を振りかけ、残りのピーマンをのせる。
  3. 3ゆるくラップをかけ、電子レンジ600wで1分30秒。いったんレンジから取り出し、容器の中身をざっくりと混ぜ、再びレンジで1分10秒ー1分30秒


無限ピーマンはご飯のおかずに最適な料理として紹介されることが多いのですが、上記レシピはご飯としての相性よりも、ピーマンの味と食感を生かしてもりもり食べることが目的です。

一般的なレシピより、ツナに対してピーマンが多い目で、切り方も大ぶり、レンジでの加熱も抑えめでしっかり歯ごたえも残します。ビールはもちろん、ちょっと風味のよいオイルを掛けたりすればワインでもいける。


もうすっかり定番。今年の夏も本当にお世話になり、多分来年以降もずっと食べ続けそうな一品です。


2017/07/13

ハリッサ(harissa、アリサ)系エントリまとめ。

世の中では香菜(コリアンダーの葉、パクチー)に続いて、クスクスのお供、ハリッサがブームになるとかならないとか。KALDIのが人気らしいけど、本気(マジ)か?

いちおうブームに乗り遅れないように、過去のハリッサ系エントリをまとめてみます。

そもそも、クスクスが大好物なためにハリッサは身近な調味料でした。このブログの開設当初から、なにかと典型的フランス料理をエキゾ味に振るツールとして、ハリッサぶっこめはいいんぢゃん、てな記載がよく目に付きます。

そのハリッサ。かつてはチューブを購入していましたがいまいち美味しくないと思っていた折、中野の老舗地中海(アラブ、マグレブ)料理レストラン・カルタゴさんでハリッサキットを購入するようになり、2000年代は、それで自家製ハリッサをつくってまかなう生活ができていました。

焼鳥もオリエンタルフレイバーで(2008/06/01)


そもそも、ハリッサはホントに生活必需品で、塩焼きの焼き鳥や串焼きを食べる時の定番がスパイス(クミン、コリアンダー、チリ)+塩またはハリッサを付けて、フブス(アラブパン)でサンドして食べる方法。クスクス以外では一番の用途です。

ひさしぶりにクスクス!(2008/07/09)


もちろんクスクスにもしっかり添えて。ていうか、ハリッサのないクスクスなんて、ラー油やゆず胡椒のない餃子みたいなものです。クスクスはフランス風なおつゆ多めが、よりハリッサが溶かせて好みです。

ハリッサ(アリサ)について(2008/07/14)


そもそも2000年代はハリッサについての悩みはありませんでした。カルタゴさんの素が入手できたからです。その素のセットスパイスを粉にして保管し、使う分だけ溶いて使うという用法は、この時代に確立されました。ところで、この記事の投稿日が7月14日というのが、感慨深い。

ハリッサの素をつくった(2009/04/05)


ところが!
カルタゴさんでハリッサの素が買えなくなったので、自作するように。キャラウェイ>コリアンダー>クミンな配合割合は相変わらずですが、最近インド系食品店で購入するコリアンダーは大手系のものと微妙に風味が異なるのが気になる今日このごろです。



今年の花見のお料理(2009/04/19)


ところで、焼き鳥の例にあるように、ハリッサは普通に香辛料としてもとても重宝。恒例のお花見レバニーズBBQでは、毎年辛みの薬味として活躍してます。

メルゲーズをつくろう!(2009/0420)


このブログのロングセラー系人気エントリ、メルゲーズのレシピ記事。
メルゲーズ作りにもハリッサの素は不可欠。基本のスパイスの風味とチリの辛さをメルゲーズの素で加えていき、辛さが整ったところで他のスパイスを補っていくというのがセオリーです。それにしても、日本でメルゲーズについて前置き説明なしで記事かけるような日が来るなんて夢のようです。

ひさびさにサンドイッチでお弁当をつくった(2010/0404)


ベトナムサンドイッチ(風の具材)ごっこに、ハリッサで辛みとスパイスの風味をプラスするという、フランコフォン地域の夢のコラボが実現。

サバ缶のハリッサ和え(2013/03/11)


アレンジ料理を沢山しているようで、過去エントリを振り返るとあんまり見あたらなかったのですが、とても美味しかったハリッサのアレンジ例が、このサバ缶のハリッサ和え。といっても元ネタがあって、カリブ海のグアドループ島のフェリー乗り場で買った鯖サンドの再現メニュー。ベトナムサンドにしても、ハリッサの使途ってどこかでフランス系な部分でつながっていくんですね。ていうことは、フォーにも合うとか?

3分でできて、異常に夏っぽい!ラタトゥイユのカレー(2013/08/16)


夏の定番つくりおき、ラタトゥイユにもハリッサの素を足して、すっきりさわやかなフレイバーのカレーにしちゃいます。カレー粉だけより、コリアンダーとキャラウェイの風味で。夏夏夏夏常夏感がとても高まります。

尚、最近のマイブームはこのようにカレーにするのではなく、トマト多めでハリッサの素だけ入れたほうがどうやら美味しいらしいということに、ようやく気づきました。


腐乳のディップを作ってみた。

先日、調味料をストックしている棚を探ってみると、腐乳(白)がでてきました。ちょうどその近くの日程に、地元の中華料理屋さんで腐乳風味の野菜炒めをいただいたタイミング。あまりにもうれしくて、さしあたり手持ちの料理本を参考に、コストコで買ってきたロメインレタスを腐乳ソースで炒めるという手堅い料理でいただきました。美味しい。


実は、棚の奥にあっただけに賞味期限を約1年超過していたのですが、流石の発酵食品なので全然いける。しかも、使ってみれば、想像以上に簡単かつ美味しくお野菜の味を引き立ててくれる「まるでマジック」な調味料でした。

さてその後。

冷蔵庫には、サラダ向けにんじん、長野産セロリ、胡瓜と、野菜スティック向けの食材が顔を並べていました。いつもならアンチョビのソースでバリバリ食べるところですが、今の冷蔵庫には腐乳様がいらっしゃいます。

そこで、アンチョビを腐乳にリプレイスしたようなディップソースをこしらえてみました。



○材料

  • 腐乳 1かけ
  • オリーブ油 腐乳と同じくらい
  • 長ねぎ 1-1.5cm、細かいみじん切り
  • しょうが 長ねぎと同じくらい、すり下ろす
  • にんにく お好みで、みじん切りorチューブorパウダー


○レシピ

  1. 耐熱容器に材料を入れ、腐乳をつぶしながら混ぜる
  2. 600wのレンジで30-40秒、油がふつふつし始める加減で、止めて、一度全体を混ぜる
  3. 再び、600wのレンジで20-30秒、ふつふつして数秒でストップし、もういちど混ぜてできあがり


いつものように、にんにく強めが好きではないので、今回はパウダーを使いましたが、お好きな方はみじん切りでもチューブでもよいと思います。手抜きレシピとしては、レバノン風にんにくペーストが冷凍してあれば、それを混ぜてもよいかもしれません。多分にレモンの酸味もプラスに働いてくれると思います。

さて、このディップ。無双においしい!しかも動物性の食品を含まないので、宗教的や信条的に制限がある方との食卓にも活用できそうです。

まずは野菜スティックに付けてみましたが、とりわけにんじんとの相性が抜群。この様子だと、キャロットラペの味付けに使ったり、にんじんサンドに入れてみたり、展開例がいくらでも浮かんできます。


あとゆで鶏があったので、かけてみました。味は中華系に振っているので、さしあたり薬味には小口切りの葱を。これも胸肉の淡泊な味わいを、オイルの食感とねっとりした腐乳のコクが補ってくれて、とんでもないおいしさです。発酵食品フレイバーがあるので、おそらく香菜とも相性がよさげかも。


ほかにも、いつぞや提案した禁断の馬鈴薯パーティーでも、ベイクド、ボイルド、フライド、どの調理法にも対応できそうで、レバノン風にんにくペースト、トスカーナポテト、バタータハーラ(レバノン風スパイシーポテト)に強力なライバル現る、といった雰囲気。さらにスパイスや豆板醤をはじめとしたエキゾチック調味料を加えれば、可能性は無限大な予感です。

このエントリにグッとくるようなすばらしい味覚をお持ちかつ、近所にエスニック食材が購入できるお店がある方は、明日にもお店に買いに走り、早速実践することを強くお勧めします。

2017/06/25

コストコのビーフパティ1個で、チャレンジ。

みなさま Eid Mubarak! 

先日、コストコで初めてビーフパティを買ってみました。約150gの赤身の牛ひき肉が、ハンバーガーのパティ状になって12個入っています。今回はお友達と二人でシェアしたため、冷凍庫には6個がストックされました。

これまでもコストコのひき肉を購入したことはありましたが、ストックしてみると定量の固まりであることはなにかと便利です。今までは2-300g単位の目分量で保存し、惰性で調理に活用してきましたが、このひとかたまりでどんなお料理が、どれだけ作れるか実験してみました。

**********

クッベ(kebbe,kibbe,kebbeh)の場合


材料

  • ビーフパティ1個
  • ブルグル 1/2カップ(生地用)
  • 塩、スパイス(生地用)
  • 玉葱 1/4個(フィリング用)
  • 松の実 大さじ2(フィリング用)
  • 塩、スパイス(フィリング用)


*今回のスパイスは胡椒、4エピス、オールスパイス、コリアンダー、クミンを利用。レシピ本にはレバノンの7スパイスを使うものが多いですが、その場合は4エピス(シナモン、ショウガ、クローブ、ナツメグ)に上記3種を足して代用しています。

レシピ

  1. クッベの生地をつくる。ブルグルをよく戻し、レンジで軽くふかす。ひき肉の6割量とブルグル、塩、スパイスをフードプロセッサーに入れ、ブルグルの粒と肉がほぼ一体化するくらいによく練り上げる。
  2. フィリングを作る。みじん切りの玉葱、4割量のひき肉を油で炒め、塩とスパイスで味付けする。最後にローストした松の実を加える
  3. 1の生地を8等分して玉状に握った後、真ん中に指を差し込んで生地全体を薄く押し広げながら内部に空洞を作る。そこにフィリングを詰めて穴を塞ぎ、紡錘形(ラグビーボール形)に整形する。
  4. 3をこんがりと揚げる


というわけで、クッベを作ってみたところ、まわりの生地をブルグル多めにすると、フィンガーフードサイズのもの(MSサイズ卵よりちょっと小さいくらい)が8個程度できました。もう少し大きめのL卵サイズにすると6個くらいでしょうか?


メゼとして出す場合、Lだと一人一個、MSだと2個くらいとして、ビーフパティ一つで、4-6人くらい分が作れそうです。

クッベの整形の仕方は説明しにくいのですが「How to make Kibbeh」などと検索すれば、たくさんの動画が見つかります。ご参照ください。

もし、フィリングが余った場合はとてもラッキーです。そのまんまホンモスにのっければ肉入りホンモスのできあがり。残り物のホンモスと合わせて、翌日のボリューミーなランチにも魅力的です。

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・コフタの場合


材料

  • ビーフパティ1個
  • 玉葱 1/4(大)~1/2個(小)
  • パセリ 1/2束
  • 塩、スパイス(胡椒、オールスパイス、コリアンダー、クミン)
  • レモン、玉葱(スライス)、イタリアンパセリ、ミント等



  1. 生地をつくる、その1。玉葱のみじん切り、パセリのみじん切り、塩、スパイスをボウルに取って混ぜ、塩やスパイスを均一になるよう混ぜる
  2. 生地をつくる、その2。1にひき肉を入れ、ほど軽く粘りが出るまで混ぜ、ラップをして冷蔵庫で少し休ませる。
  3. 2の生地を4等分し、串につける
  4. 3の串を焼く。炭火があれば最良だが、フライパン、魚焼き用グリルなどでも可
  5. 4を皿に取り、串を抜き、くし形に切ったレモンや玉葱スライス、イタリアンパセリ、ミントなどを添える。肉を添えた野菜などと一緒にパンに挟んで食べる


というわけで、コフタは4本ができました。


コフタだけを食べるなら3本くらいはほしいところですが、メゼをしっかり充実させれば2本で満足できる人も多いのでは?また、シシタウク(鶏肉のカバブ)や、牛やラム肉のカバブなどと一緒だと、3本セットでステキなごちそう、カバブ盛り合わせのできあがりです。その場合だと、コフタを一人1本にして、パティ1個で4人分まで対応できそうです。

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以上、典型的なレバノン料理にビーフパティを活用してみたのですが、これがもう想像以上に便利に使えそうです。人数や料理数に応じての調整が極めてしやすく、家庭のごはんシーンでレバニーズを作る時には、普通のひき肉ではなく絶対こっちをチョイスします、ってくらい。

また新しいメニューの事例が出来れば、ご報告いたします。

2017/04/19

今年のお花見メゼ(meze)。

昨春は、3月に仙台行きの機会がありまして、そこで買ってきた仙台のせりの魅力のとりこになってしまったので、お花見はせりしゃぶで楽しんだ訳ですが、今年は例年通りのレバニーズBBQとなりました。

焼き物=カバブ類は例年通り、シシカバブ(ラム肉)、シシタウク(鶏胸肉、トマト味)、そしてマグレブピリ辛ソーセージのメルゲーズだったのですが、メゼ類は新しいお料理も何品かつくりました。その記録がてらのエントリです。


今年のお花見メゼ
ここまでは定番。

昨年つくって美味しかったり、気になっていたメニューを実作してみたりしたものが以下の新規メニュー
も、お花見に初投入しました。

カリフラワーのローストには、タヒニソース(サラーム海上氏のMAYHANE TABLEのレシピ)とレバノン風にんにくペーストレバノン料理本のレシピ)のソース2種を添えて。

ブロッコリーとブルグルのサラダは、青い野菜とクスクスのサラダを、よりシンプルかつレバノン寄りにアレンジしたもので、日頃の食卓では結構定番。地味なのでパーティーには使うことなかったのだけど、最近つくったらやっぱり美味しいので、入れてみました。お豆なしでも、十分においしいものです。

あと仕上げにかけるオリーブ油は、東地中海寄りということでギリシア産のものをチョイスしました。

*ところで、ファトゥーシュとムッタバルはちゃんとしたエントリを書いてなかったようなので、今回の補足で近いうちに上げられればとおもいます。

2017/03/27

地元関係の料理本~2016年の料理本その3

2016年の料理本シリーズ。その3は、ばたばたして上げていなかった、地元関係の料理本2冊です。しかも偶然、著者はお二人とも90歳代。


山田トシさんの手料理帳-河和田と暮らす二十四節季

去年は料理本関係のクラウドファンディングに2件乗っかりました。ひとつはすでに紹介済み、サラーム海上氏の「MAYHANE TABLE」。そしてもう一件が、地元福井県鯖江市河田地区の92歳のお料理の先生、山田トシさんという方のレシピを、地元の風土とともに紹介した本です。


この本が製作される背景や山田さんのことなどについては、クラウドファンディングのサイトに極めて詳しく記されていますので、詳細はそちらに譲ります。お料理はガチガチの伝統料理というわけでもなく、生活の中でほどよくアレンジされていて、作ってみたいというより、(料理ヲタク的には)このレシピができあがるまでの風土や生活背景などに思いを寄せるのが楽しい一冊です。山田さんの福井弁なコメントは、そうした想像力をさらにかきたててくれます。

越廼・伝統の魚介さばき

山田さんの料理本は、1000枚を越えるという膨大なレシピの中からのより抜き編だったのに対し、こちらの本は福井市の海岸部、越廼地区での緻密なフィールドワークの成果をぎっしり詰め込んだ濃厚きわまる一冊です。


著者(というか編者)の青木捨夫さんという方は地元で教員をされていた方で、前書きによると、この本のオリジナルは1976(昭和51)年に中学校の卒業生にガリ版で印刷したものをプレゼントしたものだそうです。それを昨年に再編集して出版されました。内容は魚や魚介類、海草などについて、種類別に地元で伝わる昔ながらの調理法を紹介しています。

そしてその内容は、お魚などの材料は市場に流通して、お店で入手するのがあたりまえな今の時代にあって「海、野山、田畑で入手」したものを前提としたもので、お魚をただの食材としてとらえるのではなく、「季節感や郷土性」「原材料から調理、食品化」「季節や地勢、自然などへの感動や詩情」までも伝えようとしていて、ホントに読んでいて感動的かつ、まったく 飽きません。

食べ方やレシピも、様々な情報が手に入るようになって画一化されがちな昨今には忘れられがちな地元ならではな内容がたっぷり。最初からページを繰っていくと、シイラを漁場でさばいてつくった「沖なます」や、ブリ飯、骨づくりというお刺身の作り方などと、とても興味をそそられます。

文面には、たとえばエイをお刺身にする部分の(要約)
・ひれを切り落として皮をはぎ、筋に直角に包丁を入れて刺身にし
・なるべく薄く刻むと軟骨が数珠のように連なって刺身ができあがる
・歯ざわりと味が大変よい。食通にとっては、忘れられない郷愁的な味である

など、あちこちに、調査した人の丁寧なフィールドワークぶりもにじみ出ています。そしてお魚のイラストも、なんとも味があってかわいい。

この著者の青木さんという方、他にも地元越廼地区のありとあらゆる(誇張ではない)風俗・文化を調査され、それを冊子にまとめていらっしゃいます。どれも精緻で驚愕の内容の濃さ。越廼の図書館で閲覧できると思います。