2012/05/11

ワタリガニの豆鼓炒め

これ、一応苦手克服系なエントリです。

メインの食材は、ワタリガニです。先日のエントリで書きましたが、どっちかっていうと地元では非メジャーな食材で、(例によって)たまたま地元百貨店の鮮魚コーナーで売ってました。

個人的には、ワタリガニの「身は」は大好きです。でも普段は地元で店頭に並んでるのは、ガルフ(=ペルシア湾)バハレーン産の解凍ものばかり。ましてや、蟹=ずわい蟹な土地ゆえ、何年か前に日間賀島で食べたようなとれとれピチピチなワタリガニは、めったにいただくことはできません。

そんな土地で、なかなかに見所のあるワタリガニが並んでいました。富山産。しかも、相当に魅力的な体つきです。実際、包丁を入れてみると、中にはミソと卵がギッチリ詰まっています。

とはいえ、香川ちっくな呼称を用いるならば「かに県」な住民としては、売り場でぐったりしている蟹を買って帰って茹でてみても、如何せん臭いが気になります。日間賀島の蟹のような気持ちのいい食べ物ではありません。

そこで仕方なく、ワタリガニ料理の定番、豆鼓炒めとしたのですが、




◎ワタリガニの豆鼓炒め
  1. ワタリガニの甲羅を真ん中で半分に割り、その半身を三分する。片栗粉をまぶして揚げる
  2. 鍋に油を入れ、にんにく、ショウガ、ネギの香りを軽く出し、刻んだ豆鼓、豆板醤、陳皮を入れて香りと辛みと味を出す。そこに紹興酒で香りを立て、スープ適量を入れる。醤油、砂糖などで味を調え、片栗粉でとろみをつける
  3. 2に1を加え、なじませる。なじんだら、ごま油、または好みの香油で香り付けする

このお料理自体は、バハレーン産のワタリガニでも、味噌汁と並んでつくるおなじみのメニューです。

でも、眼目は苦手克服。

実は、僕自身は蟹味噌がとても苦手で、セイコ蟹でもなんでも、味噌は酢で洗い流して食べるくらいに苦手な味です。メロンやウニにも共通する、リッチで濃厚な時が苦手なのです。牛の霜降り肉もとても苦手で、砂糖と醤油を直接肉に振りかけて調理する関西風すき焼き以外では、食べることがとても苦痛なのです。

でも今回は、ワタリガニならではの肩の部分にみっちりと付いた身とともにこびりついている味噌が、好意的に味わえたのです。油で揚げたことに加え、香りも味も濃厚な豆鼓ソースのおかげで、プラスに転化するのです。

同じような事例として、鱈の白子があります。やっぱりリッチで濃厚系な味ですが...

それが、天ぷらにしたり、ガーリックバターソテーにして、濃厚すぎる味を、さらに濃厚なフレイバーで覆うと、それなりにしっかりした美味しさに転じてしまう、あぶらの味の力。これと同じような効果を豆鼓ソースが演出してくれているのです。

果たして、十分に火の入った蟹味噌は豆鼓ソースとのバッティングで、とても美味しくいただけました。リッチな味わいを好む一般の人の味覚にそぐうかは疑問ですが、同じ様な味覚をお持ちの方には、喜びの幅を広げてもらえるきっかけになるのではないかとおもってのエントリです。

もちろん、この調理によって広がる蟹の身の甘みと旨みの深さ、ビールをあおった時の気持ち良さは言うまでもありません。

特に中華系調理のスキルor食経験のある方には、改めて実践をオススメできるお料理です。

2012/05/10

いちごにシェリービネガーをかけた

去年、食+旅チャンネルでみたパイナップル+モラセスを実作した際、積み残したままだったいちご+シェリービネガーも、この春、ようやくチャレンジJOYできました。やっぱりスペイン人の味覚は正しすぎ!これも鉄板の取り合わせでした。


パイナップルの時のエントリにも書きましたが、この実作にあたってお友達の菓子職人さんと味の作り方について軽くディスカッションしました。それは砂糖の使い方なのですが、彼女の示してくれた方向性は「グラニュー糖で、いちごの甘みを軽く補う」行き方。

実際にやってみると、たぶんこれは正解です。すっきりといちごの香りが活きて、その上でビネガーの香りが吹き抜けて、後味も切れる。オススメです。

でも、僕自身は相当に甘みの感覚が振り切れていて、べったべたに甘い味が、美味しいというよりむしろ気持ちよく感じる体躯になってしまっているので、結局、砂糖の風味がガッツリ押してくるカソナードをたっぷりと振りかける行き方に振り戻ってしまいました。でも、決して一般の人にお勧めできるものではありません。

さて、こんないちごを食べたい場面はやっぱり夕食の後。たまたま家にあった、甘めのシェリーを合わせてみたりしたのですが、自分はどうしてもいちごを甘めにしてしまう分、シェリーはティオペペみたいな食前向きっぽいドライ系と一緒の方がよかったみたいです。となると、いちごの甘みを抑えると、食後向けのシェリーとの相性がもっと引き立ったのかしら?

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追記 18/05/2012

きょう、みるからに露地ものな愛知産のいちごで、このシェリービネガーがけをやったところ、かなり最高です。これから出てくる、小粒だけど風味の強い、そんないちごだと、うまさ倍増。とてもオススメします。

いろいろと貝を食べた話

この春は、日頃いただくことのできない貝を食べる機会に恵まれました。

その1 ムールで満腹になった!

福井日仏協会の会員の一人が、ムールを食べる会を開いてくれました。



ムールですよ、ムール!当然、フリットと白ワインも。約25人の参加者に対して、用意されたムールが20kg超。一人当たり1kg弱って、すごい量だとおもうけど、ムールでお腹いっぱいにして、みんなで食べちゃいました。



この山積みなムールは、パック詰めされたカナダ産だとか。案外フレッシュを使うより、こんなタイプの方が下処理の手間がなくて楽ちんだそうです。

食べ方は、当然白ワイン蒸しなんですが、3回の大鍋はセロリを効かせてみたり、パセリが効いていたり、パプリカが入ってオリーブ油も香るプロバンス風だったりと、飽きずに楽しめました。そう、鍋からは大きめのカップを使って、ガガーってたっぷりすくって取り分けます。ひとすくいで、日本の普通のレストランなら余裕で1人前な分量です。



こんなムール祭りは、実は以前からの憧れ。これにピラフ詰めも加わって、前菜にメゼとかを軽くそろえてみたりすると、さらに自分好みで楽しそうです。

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その2 馬刀貝の缶詰


酒屋などの店頭に、国分が出してる缶つまというシリーズが並んでいます。オイルサーディン系や魚介味付け系など和洋の定番の中に、たこのガリシア風などスペイン系のものもいくつか。そこで、グッと俺の心を掴んだのがGlobal Tourというシリーズにあった馬刀貝の水煮です。そのまま食べましたが、なかなかに嬉しく楽しめます。



というのも、この馬刀貝。とても魅力的な貝なんですが、残念ながら地元の福井県ではあまり流通していません。保守的な県民性もあるのかしら、それとも身近に新鮮な魚介類が溢れているためかしら、あんまり馴染みのない太平洋側っぽいものや東北っぽい食材への関心は低めな雰囲気で、それらは希に地元百貨店の魚売り場で見かけるほかは、ほとんど目にする機会がありません。

馬刀貝もそんな食材の一つ。なかなかにお値段する(買値は500円超)けど、また暑い夏の日の夕方にキリっと冷えた白ワインを飲みたいような時、手を出してみたいアテではあります。

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その3 タイラギとミル貝にも、つい手が伸びた

4月に三重県まで出かける用事がありました。名古屋経由です。食いしん坊としては、名駅の百貨店の地下食品売り場も当然のぞきます。その鮮魚売り場で、またまた俺の心を掴みやがったのが、シャコとタイラギ、そしてミル貝です。

前述のように、地元ではほぼ口にできない食材です。でも大好き。



帰宅まで約2時間ありますが、まだ暑い季節ではなかったため生食用で買ってしまいました。そして当日、シャコと、貝の半分量はお造りでいただきました。んまい。

残った貝は、その日のうちにさっとボイルしておいて、翌日はアスパラとの炒め物です。ミルもタイラギも、生は生で風味、歯ごたえとも気持ちよいんだけれど、味わい的には火を入れた方が好みです。ショウガとネギを効かせた中に、ちょこっと唐辛子の辛みも通して、シャッキリと。

貝好きとして、なかなかに満足できた春。そういえば、北海道物産展でホッキカレーも買ってきて食べたっけ。こうなると、なんとかランビ(コンク貝)を入手して、豪快に焼いたり、コロンボにしたりして楽しんでみたくなってきます。