2015/08/23

地がらしマスタード

料理雑誌の中でも、二回目にしてもう鉄板特集な料理通信誌の「自家製しよう!」シリーズ。昨年11月号のvol.1でもベーコンやアリッサ、いぶりがっこなど素敵なレシピが満載でしたが(このブログのトップキーワードのひとつメルゲーズも出てた)、今年7月号の中でも個人的に大当たりだったのが、長尾智子氏のマスタードです。


雑誌で紹介されていたのは粒のマスタードをフードプロセッサーなどで潰してつくる方法。

でも、この福井市足羽地区には麩市という地がらしの販売元があり、しかもそこは自宅から徒歩3分ほどで、ついでにそこいらのスーパーに行っても普通にこの和がらしが購入できる土地柄。この長尾氏のルセットを参考に、地がらしなアレンジを加えて、チャレンジjoyです。

レシピ
  1. 地がらし(和がらし)をかく。すり鉢(または適当な容器)に地がらしと熱湯を入れ、すりこ木で練り上げる(パケのレシピを参照のこと)。すりこぎは必ず同じ方向に動かし、逆回転は厳禁!
  2. 練ったからしの上に紙(半紙、和紙など)をぴっちり敷き、その上に熱湯を張りアクを抜く。数時間おく
  3. お湯を捨て、すり鉢(容器)をひっくり返して一晩置く
  4. 寝かしたからしに白ワインビネガーを加えて、食べやすい固さに緩め、練り上げる。
  5. 塩、蜂蜜で味を調える。お好みでスパイス、ハーブ等も。
  6. 殺菌消毒した瓶に5を詰め、1-2週間寝かせる。

分量は雑誌を参照または作りながらアレンジしてください。というのも、芥子をかく過程の水分量や甘さの加減、風味の好みなどで、ずいぶんと分量が変わってくるからです。長尾ルセットではマスタードシードに調味料を入れて粉砕・撹拌してマスタードに仕上げ、ターメリックを加えていました。

が、

地がらし(和芥子)の場合は、ちょっとアプローチが変わってきます。

まず、昔ながらなかき方で、しっかりと辛みを引き出し、アクを抜きます。「かき混ぜる時は必ず一方向に!」「きちんとアク抜き!」というのは、年配の方から聞かされていたのですが、最近のネットなどに流れている地がらし用法では、省略されていがちなところ。ここは昔ながらの知恵に敬意を表し、きちんと実践したいところです。





もう一つ、実作してみて思ったのは、風味の添加は間接的な方が地がらしにはよさそうという予感。

長尾ルセットの本文テキストで、スパイスについては

スパイスは、色を加えるという意味でもターメリックが基本になりますが、ナッツメグやクローブなど、味を深めるのにいいスパイスもあります。

とのこと。でもちゃんとアク抜きした地がらしには、スパイスをダイレクトに使うより、ハーブビネガーを用いたり、蜂蜜の個性を生かしたりする方が、実食してみて吉でした。

ちなみに今回は、普通の白ワインビネガーとハーブビネガー(エストラゴンやタイム、セージなどが漬けてあるもの)を半々で使用。蜂蜜はタイムの花のものを用いました。

丁度自宅には普通の蜂蜜がなく、フランス産の花々ごとのものしかないという状況。それを徐々に添加して実作しててみると、蜂蜜の個性がいい感じに主張してきていたので、ハーブ・スパイスの直接添加をやめて、間接で香りを加えることにしてみました。


肉加工品(シャルキュトリー)につけるのはもちろん、ドレッシングやローストチキンなどにも、普通のマスタードにない味わいでぴったり。しかも辛みは、ポット入りの高級マイユみたいにピリッと効いてきて、(買い置きあるのに)もう普通のマスタードには戻れません。

この夏、前エントリのムハラビーエ+グラノーラと並んで大きな発見でした。

2015/08/20

ムハラビエ+グラノーラ

米粉消費拡大には「これで決まり」、なオススメ米粉デザート・ムハラビーエ(ストラッチ、ライスプディング)ですが、この夏は朝ご飯の定番の仲間入りを果たしました。

いつもより柔らかくつくったものに、フルーツグラノーラを振りかけて食べると、味わいは優しいし、カルシウムは摂取できるし、グラノーラからはいろんなものも摂取できてかみ応えもあるって、朝ご飯としてはすばらしすぎます。



グラノーラ用のムハラビエ(2人前)

  • 米粉 50g
  • 牛乳 500ml
  • 砂糖、ローズウオーター 適量
  • グラノーラ

レシピ
  1. 鍋で米粉と砂糖を牛乳で溶き、火にかける。
  2. 煮えてとろみが出てくるまでは、泡立て器でよくかき混ぜる。
  3. とろみが出てきたら、スパチュラを使って5-10分くらい練り、かき混ぜる。
  4. 仕上げにローズウオーターで香り付けする。
  5. 冷蔵庫で冷たくしたムハラビエにグラノーラをかける

グラノーラ向きなムハラビエは、しっかり柔らかく。感覚的には焼く前のシュー生地と、柔らかめ・なめらかめのカスタードの間くらい?分量的にはv/w(容量/重量)で牛乳10に米粉1くらいに収まってます。

とりあえず、グラノーラはお手軽にスーパーで買った物ですが、ここを凝り始めると、この朝ご飯の楽しみはより広がりそうです。

ただ、個人的にはやっぱりお米の粒が入っていた方が好みのため、本当は柔らかなお粥みたいなムハラビエと一緒にグラノーラをいただきたいものです。

2015/07/09

卵のチリソース

お気に入り三大中華まかない飯といえば湯通しレタス鶏肉と腸詰めとザーサイの蒸し物、そして卵のチリソースです。先日久々につくってみたら、やっぱりめちゃくちゃおいしい。以前のレシピはお弁当用にアレンジして、その本来のおいしさの半分も発揮できていないので、あらためてご紹介です。

○卵のチリソース
 

材料

  • 卵 3-4個
  • 油 大さじ4-6杯
  • 豆板醤 大さじ1-2
  • トマトケチャップ 大さじ3
  • 酢 大さじ3
  • 砂糖 大さじ3
  • スープ 90ml
  • 長ねぎ(白いところ) 1/2本
  • 水溶き片栗粉
  • ごま油、ラー油

レシピ
  1. チリソースをつくる、その1。油(分量外)を温めた鍋に豆板醤を入れて炒める。立ち上る煙(空気?)で目がちりちりし始めたら、酢、砂糖、ケチャップ、スープを入れ味を調える。
  2. チリソースをつくる、その2。水溶き片栗粉でとろみを付け、みじん切りにした長ネギを加えてひと煮立ち。ごま油やラー油で香りを付ける。別の容器に取っておく。
  3. 卵を炒める。鍋に油を温め、溶きほぐし軽く塩胡椒した卵をいれて、とろとろふんわりな半熟に炒める。
  4. 火を止めて、そこに2のチリソースを加え、マーブル状にざっくりと混ぜる。


きょうのポイントは、2点。

一つ目は、卵はたっぷり過ぎる油で炒めること。卵1個に大さじ1.5-2杯は使います。ふんわりとした舌触りに加え、油の味も加わったよりとろーりとした味にもつながります。

二つめは、そのとろーりな味わいとのコントラストを高めるため、豆板醤はたっぷり。辛さと量の目安としては、豆腐一丁でつくる麻婆豆腐な適量の約2倍。そして、最初の炒めを丁寧に行います。あとは、お好みに応じてお砂糖やケチャップ、塩味などの加減でバランスをとってみてください。

ごはんにもビールにもぴったり。

このお料理は、チリソースを卵にかけたり、チリソースの中で卵を和えたり、いろんな作り方のアプローチがあるかと思いますが、自分的には軽く炒めた卵の中にチリソースを絡ませていくこの方法が一番、思い出の味に近い気がします。

2015/07/06

マハシー用の落とし蓋

今年も地元産のズッキーニ(クルジェット、クサ=アラブ語)がお手頃に出回るころになり、ホジホジとdigしてズッキーニのマハシー(クサマハシー)が楽しめる季節になりました。

その作り方は、ズッキーニやなすなどお好みの野菜の中をくりぬき、そこにフィリングを詰めて、トマトペーストとレモン汁を加えた煮汁で30分ほど煮ます。フィリングは、(しっかり浸水させた)お米、牛挽肉、玉ねぎ、パセリを、スパイス・ハーブ(クミン、オールスパイス、ドライミント等)、塩レモン汁、オリーブ油で味つけします。

と、レシピを書いたものの、煮込み時には肝心なポイントがあります。


それは、具が動かないようにしっかりと落とし蓋をすること。これまでは、普通の金属製の落としぶたの上に何か重しになる食器等を置いていたのですが、数年前、トルコの合羽橋(ことエジプシャン/スパイス・バザール)で、念願のこの用具を入手できました。

マハシー用の落とし蓋。陶器製で、何カ所か(ずいぶん適当な配置ですけど)穴が空いています。これがあるおかげでまんべんなく重しができるようになり、便利にマハシーを作れるようになりました。

ただ売り場で一番小さいものを買ったのですが、直径が20cm以上あってやや大きめなのが玉に瑕。見かけも質感も、日本でも普通に売っている漬け物用の陶器製重し(蓋?)みたいな感じで、違いは穴の有無くらいなので、小さい鍋用にこれを加工して代用できないかとずっと思っています。

2015/06/29

DUCASSEのルセットでCitrons confits au sel (塩レモン)

アラン・デュカスAlain DUCASSE)氏といえば、この季節の食卓では、新にんじんと新たまねぎのココットがすっかり常備菜としてお馴染みですが、

この春、デュカス氏の料理本「Nature(デュカスのナチュールレシピ)」をぱらぱらとめくっていると、興味関心をグッともっていかれるルセットがありました。それがsubjectのレモンのコンフィです。


「塩レモン」の名前で大ブームになったシトロンコンフィですが、自分はずっと不要派でした。まず、国産の安全なレモンが手に入る時期には、たとえばキャベツと羊のタジンのように、コンフィを使うルセットの料理でもフレッシュで十分。国産が季節外れな時期には、こんな地方に住んでいても、最近は南半球のbioなレモンが入手できる世の中になり、より不要感が高まっていました。

(さらに、肉+野菜のアラブ風煮込みにはドライレモン使うし、カレーにはインド産の劇辛ライムピクルス使うので、一般の人よりはより塩レモンが担うべきレンジは狭くなるのです)

でも、DUCASSEのコンフィはちょっと違う。

なにが違うって、塩だけでなく砂糖も使い、さらにシロップも用いて漬け込むのです。レバノン的なレモン偏愛+極度の甘味好きには、クラクラきてしまいました。

そんなわけで、本のルセットを参考に実作。塩は上五島の塩をおごりました。


とりあえず、poulet roti(ローストチキン)の下味に使ってみたり、お腹の中に仕込んでみたり、という使い方は吉でした。でも肝心の塩レモンシロップについては、ポワレしたお魚のレモンバターソースに活用しようとしましたが、初回は失敗。

本によると、果肉の部分と、皮の部分はそれぞれに使い分けて、みたいな感じだったので、いろいろ可能性を研究していければと思っています。

なにはともあれ、これから夏に向けてオリーブ油をバンバン使いたい時節。

自分にとってはオリーブ油の権化は、ジェイミー(も嫌いではないけど)でも、もこみちでもなく、やっぱりDUCASSE氏なので(cuisinez comme un grand chef=邦題:シンプルフレンチ/あなたもグランシェフ=でも、氏の場合は「ここでバター」な場面はたいてい「オリーブ油」)、この際、バターではなくオリーブ油との相性で、このコンフィとシロップの可能性を追求していきた所存であります。

尚、新にんじんと新たまねぎのココットはcuisinez comme un grand chefの春編・春野菜の週に登場です。




2015/05/20

HaaretzのFood&Wineコーナーは必読です!


日本全国のホンモス(フムス)好きのみなさま、実は5月13日がInternational Hummus Dayだってご存じでした?

レバノン好きだと、どうしてもあちら方面のさまざまな情勢が気になるため、現地のニュースもヲチしてます。主にチェックしてるのは、カタールのAljazeeraとレバノンのThe Daily Star、そしてイスラエルの新聞・Haaretzです。

RSSやSNSのフィードで気になったものを拾い読みする程度なのですが、このうちHaaretzでは時折、異常においしそうだったり、料理愛好家魂をくすぐられたりするフィードが紛れ込んできます。それが同紙のLIFEカテゴリ内のFood&Wineコーナーの記事。冒頭のInternational Hummus Dayの記事もその一つ。


レシピ系の記事も多数ありますが、


個人的にこのコーナーで一番打ち抜かれたのが、このタニヒ(タニーナ)ユーザーズガイド(のこの写真)。ほかにも、世界の食を紹介する記事も多く登場し、東京のイスラエル料理シーンの記事もなかなかに興味深いものがありました。

また、アラブ圏とちがってWineの記事も頻繁に登場するので、アラブ飯(=ほぼ=イスラエル飯)とアルコールの取り合わせについても参考になります。イスラエル視点といえば、Jewish視点な食の記事もハラールと並んでカシェルにも関心が高まる昨今は、目をひかれます。

そういえば、アラブ圏を経てイスラエルに旅行した人に聞くと「街の様子ががらりと代わり、日本みたいに綺麗になる」との声を聞いたことがありますが、写真や盛り付けなどの洗練されてる感は、なるほどその感想に相通じるものがあり、アラブ系料理パーティーなどの参考になりそうです。

気になる方はレジストして、いろんな記事を読んでみてくださいね。

*おまけ
ちなみにタヒニ愛好家な方は、このTaninibloggenというサイトも必見必読です。

2015/05/11

日本のうどん発祥地探訪記-発動編その2

これまでの経緯
接触編その1
接触編その2
発動編その1

うどん発祥探訪記の最後は、伝承館でうかがった、正統な五島うどんの食し方をご紹介して締め括りたいとおもいます。

○ゆで方

たくさんのお湯で茹でる。お湯の量は、茹でている時にうどんがくるくると廻る程度。どのうどんのパケでも、基本の推奨量はうどん100gに水1lとなっていますが、1.5-2倍くらいの湯量でもよいように思います。


基本のゆで時間は、うどんを湯に入れ、再沸騰してから6分。

実際に食べてみてゆで加減が足りないな、と感じた場合。コンロなどで煮立てながら食べる場合はもうすこし茹で続ければよいのですが、そうでない場合は、そのまま湯に浸しておいて、好みのゆで加減に。

五島うどんの食べ方といえば、茹でた鍋のまま、煮立ったところを出汁や卵にとって食べる地獄炊きですが、うどんを追加で茹でる時には適宜お湯を足した方が吉だそう。

冷やして食べる際には、最後には必ず氷水にとって締めてほしいとのこと。プルプルの食感のうどんのためには、これは必須。

尚、この方のうどんのパケの説明には、冷やしの場合は、好みのゆで時間+火をとめてむらし1分、その後に締めるように、との表記がありました。

○食べ方
熱々のうどんの鍋を前にして、用意すべきはあごだしと生卵の二つの鉢。
あごだしは、普通の釜揚げうどんのように食べるとして、


生卵には醤油と葱、人によってがカツオブシを少量加える方もいるそう。そこに熱々のうどんをすき焼きのように取って、たまごをからめて食べてください、とのこと。

各所の食べた方のアドバイスををみると、卵への醤油の添加量は“少量”または“ごく少量”との表記があります。実はここが大切なポイントで、「地獄炊き」だと茹で汁に麺由来の塩分がかなり溶出しています。鍋から熱々のうどんを引き出して卵に放り込むと、その茹で汁の塩分も加わるので、それを見越して、醤油は控えめにするのが(讃岐うどん愛好者によると、この点は釜玉でも同じとのこと)ポイントのようで、この点についてもきっちりご教示いただけました。

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最後に、使っている粉のことを聞いてみました。

小麦の島だけに、地元の粉へのこだわりが強いのかと思いきや、粉はアメリカ産のものを使っているとのこと。食感などを考えると、これがベストの選択だと話されていました。

お話をうかがった方は、伝承館でうどんをつくり「潮風の恵」というレーベルで販売されています。また、船崎のうどんは(船崎に入る直前の交差点付近にある)青方のメル・カピィでほぼ入手可とのことなので、必訪な直売所です。


(ていうか、そもそも大曽教会にお参りする前に、交差点の先の目の前にあった直売所の看板に目を取られて、ナビの案内を聞き流して肝心の交差点を通り過ぎ、メル・カピィに直行してしまったことを懺悔します)

日本のうどん発祥地探訪記-発動編その1

これまでの経緯
接触編その1
接触編その2

五島うどんのルーツの地といわれる長崎県上五島・船崎地区にある、船崎うどん伝承館で、うどんづくりの現場に遭遇するとともに、五島うどんの歴史と、その製造、調理法について、(なにしろ島観光の残り時間での訪問故、10分強!の)短い時間ながら、その技を伝承している方からご教示いただくことができました。

概説的な歴史各所にでているのでご参照いただくとして発動編その1では、具体的な工程の解説はオフィシャルなサイトに委ねるとして、このエントリでは歴史な部分を掘り下げて、聴き語りで採録します。


そもそも、この地でうどんづくりが始まったのは遣唐使の時代にさかのぼります。この集落に向かうため国道を外れるところにあるのが、島の中ではなかなかに大きな青方の町。ここは遣唐使船の寄港地であり、中国の麺の製法が、遣唐使を通じて伝わったとのことです。

五島うどんの製法は、基本的にはそうめんと同じようなのですが、まったく同じような製法が中国・浙江省に残っており、そのことが中国>五島>日本という、うどん伝播の道筋を示す証左なのだそう。

そして、五島へ伝わったうどん(饂飩)の製法は徐々に全国に広がっていきます。秋田県の稲庭うどんも、五島うどんの製法が、北前船を通じて伝わったとのこと。しかし、伸ばしていく工程の中で、押しつぶす作業が入ることで断面が丸い五島うどんと、平べったい稲庭うどんの差異が生まれてきます。


さて、そうして上五島に伝わったうどんづくりですが、島内でも船崎地区で作り続けられてきたことにも、風土的な条件が絡んできます。

まず、米作りには適さない島の条件面から、古くから小麦が栽培され「小麦の島」だったこと。合わせて多くの椿が自生していて、油が入手しやすい環境だったことが、うどんづくりに適していたことが揚げられるとのこと。お話には出てきませんでしたが、周囲が海のため(実際にお土産にはたくさんの塩を購入しました)、塩の入手には問題はなかったことでしょう。

気候面では島の北西に位置するため、北からの風が吹いてくることも幸いしました。よりをかけながら八の字にまいて「掛巻き」し、伸ばされたうどんは30分も自然の風にさらせば、表面が乾燥し麺同士がくっつくこともなくなるそう。あとは室内乾燥で芯まで乾かせばOKとなります。島内でも、こうした乾麺づくりに適した環境が大きかったそうです。


本当は、乾麺にするよりできたてのうどんを茹でて食べた方がおいしい。けれども、保存の利く乾麺とする理由もありました。

保存食としてつくることはもちろん、島では漁業に従事する方も多く、漁に出たときに食料として持って行くためにも乾麺として加工することが必要だったとのこと。

そのうどんは、かつては家々で手作業で作っていたものでした。五島うどんは「幻のうどん」と呼ばれることが多いそうですが、それはずっと業として製造されることもなく、家々にある「うどん小屋」で作られ地域内で消費されていたことによるもの。

近年は、工程が機械化され特産品として流通するようになりましたが、上記のような地域の食べ物としてはぐくまれつづけてきた歴史が「幻」の背景にあったそうです。

今では多くの工程で機械が取り入れられて生産量も増加してきていますが、船崎では、今でも何軒かの方は、すべての工程を手作業でうどんづくりを続けていらっしゃいます。

ところで、この施設ではうどんづくりの体験もできるそう。「できたては、乾麺よりもずっとおいしい」とのことで、次の機会があれば、是非体験・賞味してみたいところ。でも、そのころには頭ケ島教会が世界遺産の一部になって、今回みたいにのんびりと島を訪ねられないかも。

発動編その2に続く。

2015/05/10

日本のうどん発祥地探訪記-接触編その2。

接触編その1から続く。

お土産も購入したし、あとは観光のみとランチを取っている間、次の目的地を確認するため島の地図を眺めていると、先のスーパーで出会ったお婆さんの言葉が思い起こされました。

大曽教会は行かれた?その近くにある船崎という…」

そうか、次の目的地の近くにその集落はあるのか、と地図に目をこらすと、赤字の教会名のすぐ上に「船崎うどん伝承館」の文字を発見しました。とはいえ、帰りの船の時間までの時間はなかなかタイトそう。とりあえず大曽教会にお参りした後の立ち寄りはスキップし、最後にちょっと時間が余りそうだったので、帰り道に立ち寄ってみました。


港へ帰るべく北進していた国道から(直売所・メル・カピィのすぐ近くの交差点で)大曽教会のある集落へ向かう道に再びハンドルを切り、教会駐車場への交差点を曲がらず真っ直ぐに坂道を上り、下ると、すぐに船崎の集落です。道沿いに、目的のうどん伝承館もすぐ発見できました。


でも、外観は...

途中、大曽教会の手前ですれ違ったお巡りさんに道を確認した際「ここからすぐですよ、公民館みたいな建物があります」、と教えてくれたのですが、そのご教示そのままの外観。よくある地域の生産者グループが小規模に加工して直売所に出荷するためのような施設でした。

まあ、その土地を踏み、海辺の風を感じただけでもいいか、と思い始めたところ、ガラス窓の中にハタ掛けされ、乾燥作業中のうどんがありました!玄関を開け、すみませんと声をかけてみると、「はーい」と女性のお返事が。

*追記:窓越しの写真を追加しました。


その方は実際にうどんづくりの真っ最中で、幸運にも、昔ながらの手作業が伝承されている現場に触れ、後継者の方からその歴史や食べ方などをご教示いただける機会を得ることができたのです。

日本のうどん発祥地探訪記-接触編その1。

先日、日本のうどんの発祥地という場所に足を運ぶことができました。

場所は長崎県上五島島の船崎という地区。日本三大うどんの一つらしく、最近は話題にもなりつつある五島うどん、その島内でもルーツといえる場所がこの集落とのことです。

実は島に降り立った時にはうどんへの興味はほとんどない状態でした。

しかし、島内をクルマで走っていると農協系スーパーを発見、例によって、地元食材の物色となりました。すると、うどんコーナーで品定めをしているお婆さんがいらっしゃいました。たくさんの銘柄の中からお気に入りのものを教えてもらおうと声をかけると

「お土産なら、少し高いけれど、この船崎という地域のものがよいよ。五島うどんは、元々はこの地域でつくられてきたものなのよ」

とのことです。そうめんのような細めの束が4つほど入った銘柄は1パケ200円台なのに、この地区のものは太めの束(250g)で350円前後。それでも、上記のうどんの歴史を考えると、これを買うべきだとオススメしてくれました。

買い物かごの中味はこんなかんじ


それで、買い物かごにドカドカうどんを入れていると、「これもね」、とパックのあごだしうどんスープ(ご当地のヒガシマルみたいなもの?)もオススメいただいたので、5袋入り*10パック入りを箱買い。

さらに「でも自家用ならこのお徳用端っこ詰め合わせよ」とオススメいただき、とりあえず地元仕様のうどん生活ができる下地が整いました。

あとは藻塩とあごだしパックをかごに入れて、お会計。この後は(うどんではない)昼食を取って、通常の通常の観光な一日が終わる予定でした。

接触編 その2へ続く。


 

2015/04/02

カリーシュニッツェル

とんかつを食べる時、普段はケチャップととんかつソースとその他のソースとタバスコなどをそのときの気分で混ぜたものを付けていただくのですが、最近のマイブームは、表題のような食べ方です。

ドイツ名物、カリーヴルストを真似て、ケチャップとカレー粉をかけていただくスタイル。料理名は「カリーシュニッツェル」ってことでよいかとおもいます。

家庭のとんかつでもケチャップの力とスパイスの香りで、いつもとはちょっと違うおいしさが楽しめますが、やっぱり本領を発揮するのがお肉屋さんで揚げてもらったとんかつ。ラードなどの動物油フライこそ、ケチャップの潜在能力がフルに発揮されビールだけでなく、お手軽な赤ワインやパンと一緒に食べてもなかなかに楽しめます。


最近はとんかつだけでなく、お肉屋さんのコロッケ(写真はこれ、カリーシュニッツエル式コロッケサンド)や(肉々しい)メンチカツにもこの食べ方を導入。お昼ご飯のおかずにも、サンドイッチにアレンジしてもよく、すっかりお気に入りです。

プラムチリビール

例によってすっかりご無沙汰な更新になりましたが…

もう初夏に仕込むのがすっかり恒例となったプラムのチリ煮ですが、最近お気に入りの使い道がこのシロップと果肉をビールで割るもの。今まではヨーグルトにかけたり、(時には白いスピリッツとともに)ソーダで割ったりしていましたが、これがベストの用い方です。




ビールの苦みと、プラムの香り、シロップの甘さ、果肉のモロモロ感も日脚が伸びていくこの季節の夕方の気分をとても高めてくれます。当然、出盛り時期の夏にもよさげです。

でも、実はこのエントリの本当のポイントはシロップの部分ではなくて、

割り材にビールではなくて、発泡酒第三のビールの類を使うことです。これまでも感じていたことですが、ビアカクテルの場合、単体で飲む時に感じる物足りなさが、逆に好ましい控えめさに転じると感じるようになってきました。

パナシェにしたり、シロップを割ったり、ドッグズノーズにしたり。0(ゼロ)っぽさや端麗さ、麦の風味を感じるものを使ってみたり、割るものとの相性で使い分けると、本物のビールでビアカクテルをつくるより、広がりがでてきます。

ちなみに今の自分におけるその極致が、アペロール用の割り材。これにはサントリーのオールフリー・レモンライムフレーバーが最強に合います。ぜひお試しください。