2009/12/31

手作りのレモン搾り

だいたい、海外旅行をした時に自然に足が向く場所ってのは、行く国はちがってもだいたいおんなじで、僕の場合は、築地みたいな場所(=食品系の市場)と、ユザワヤ(=布地屋が並ぶ)みたいな場所と、あとは合羽橋(=調理器具関係街)みたいな場所です。

実際、パリだろうがカイロだろうが、台北だろうが、マルティニークだろうが、だいたい同じうような場所にいってます。

で、シリアダマスカスを旅した時も同様。マハシーをほじくる道具とかいろいろ買いましたが、世界の中でも大好きな街のここで特筆すべきなのは、大きなのスーク(スーク・ハミディーエ)を外れた通りで見つけた一軒の店です。

ダマスの調理器具屋
そこは、お菓子の型やへらや裏ごしやなんやかんやと、調理につかういろいろな木製の道具を、製造販売していたお店。軒先には、たくさんの道具がつるされていて、店内には加工用の機械が並んでいて、おじさんが作業をしていました。

そこで、クッキーに使うようなお菓子の型と一緒に購入したのが、やはり手づくりのレモンを絞るための道具です。

レモン搾り器
過去にこのブログで何度も書いてきたように、レバノン・シリア地方は、人口一人当たり、世界で最もレモンを消費する地域。レモンの酸味を生かしたすっきりと美味しい様々な料理に加え、街中のジューススタンドで売っている(砂糖たっぷりな)レモネードも、夏の旅では忘れられない味わいです。

そんな地域で売られている、この道具。

半分に切ったレモンに突っ込み、軽くグリグリすると、いとも簡単にジュースがあふれ出してきます。そして3-5回しも終えた後には、レモンの中身はすっかりカッスカス。

イタリア人料理講師が教えていた、皮付きのまま十分にマッサージしたレモンを半分に切り、フォークを突っ込んでグリグリする方法よりも、全然簡単で、しかもより無駄なく果汁を搾り取れる優れものです。

今や、手放せません。

レモン搾りアップ
この道具も、店のおっちゃんの手づくりとみえ、何本もあるフィンの一本一本が、のこぎりかなにかで切り出したものです。フィンの付け根を見ると、のこぎりかなにかの刃で切り込んだ跡が、いくつも見えます。

木の取っ手の握り心地も含め、工業製品では味わえないこの使い心地。これからいくつものレモンを絞り、たくさんの果汁と皮のオイルが染み付いた後でどんな風に育っていってくれるのか、とても楽しみです。

*追記
ちなみに、このお店の場所。googlemapで場所が分かったら貼っておこうかとおもったのですが、残念ながら、半分迷子になりながら見つけた店なので、よくわかりません。ハミディーエのアーケードの入り口から奥に向かってすすんで、右の方に逸れていったあたりの通り沿いって記憶はあるのですが。

大根とスペアリブのスープ

中華レストランの楽しみの一つがランチです。

グランドメニューにはない、コストを抑えつつも、ちょっとひねりの利いた一品が提供されていることも多く、一卓で値段の異なるメニューをいくつかとれば、夕食とはひと味ちがう個性豊かなテーブルが楽しめます。

そして、それにまして楽しみなのが、主菜と一緒に供されるスープです。あんまり見かけはよくないけれど、安い材料をじっくり煮込んであって滋味に富んでいたり、薬膳系な材料が使ってあったり、派手さはないけれど、味わってみると、なかなかに店の良心が感じられたりする部分です。

今回のスープは、そんな中華ランチを意識してみた一品。お肉と野菜を、ゆっくりと煮込むだけですが、具材を大きくつくって、それだけでおかずとしても楽しめる味わいを目指しました。

大根とスペアリブのスープ
◎大根とスペアリブのスープ

レシピ
  1. 豚スペアリブを適当な大きさに切り、さっと下茹で。氷水に取り、血など臭みの元になる部分は取り除く
  2. 1のスペアリブとしょうが、葱の青い部分を鍋に入れ、丁寧にあくを取りながら1時間強煮込む。脂はほどよく残す
  3. 大根は、大きめの一口大に切り、30分ほど下ゆでする
  4. 2の鍋を、紹興酒(酒でも可)、醤油、塩、砂糖などで薄めに味付けし、3の大根を入れ、30分ほど煮る
  5. 細かく切ったスープセロリを食器の中に入れ、そこに熱々のスープと具を注ぐ

このメニューをつくろうとおもったきっかけは、レシピの5にあるスープセロリをたくさんいただいたから。スープセロリはいろいろ使いでがあると思うけれど、個人的には茶色い、豚系のスープに使うのがいちばん好み。スープの熱だけでさっと火が入ると、セロリの香りと、豚の脂のフレイバーがきめ細かに絡み合って、最高です。

あと、中華レストランランチ系スープは、あえて塩味がすこし足りないくらいで仕上げる方が、個人的な経験からすると、主菜の味付けやザーサイの味わいとのコントラストの面で、中華街チックな気分が高まるのではないかとおもいます。