2009/11/28

チュピルカっていう飲み物

先日、CSのグルメ+旅チャンネルで、チリワインを訪ねる番組が流れてました。ちょこっと気になったので、その番組・世界銘酒紀行の放送に気持ちを傾けてみると、チリの人たちに親しまれているワインをベースにしたいくつかの飲み物の紹介がされていました。

果物をワインで割った「ブルゴーニャ」というものや、タイトルの「チュピルカ」などなど。バーっていうかカフェっていうか、生活に近そうな場所で、おっちゃんがグラスを手にしていたのが印象的でした。

さて、問題のチュピルカっていうのは、トーストした小麦粉と砂糖を赤ワインに入れて、混ぜ混ぜしたもの。人によっては????という印象を抱くかもしれませんが、自分自身は最近、知人と「おちらし」の話をしたばっかりだったので、かなりピンときました。

おちらしというのは、地元の福井あたり(辞書でも「散らし」が別名で出てる)での呼び名。大麦などを煎ったもので、一般にははったい粉(関西の呼び名とか、辞書や歳時記の見出しはこっち。季節は夏)とか麦こがし(栄養成分表はこちら)とか。小麦と大麦の違いはあれど、粉の焦げた香ばしい香りは共通の筈です。

で、実はうちの父親もおちらしが大好きらしく、さらに赤ワインも好きなので、その二つが、すんなりと自分の中でイキナリ直結して、即実作しました。また具合のいいことに、いつもの家飲みの紙パックワインはチリのカベルネソーヴィニョンです。

チュピルカ
チュピルカ
  • 赤ワイン 180ml
  • 麦こがし ティースプーンに山盛り2
  • 砂糖 ティースプーンに山盛り1

とりあえず、テレビで見た画を思い出しながら、上記くらいの分量で。まず、麦こがしと砂糖を入れ、赤ワインを注いでよくかき混ぜるだけ。

予想どおり、赤ワインの酸味と渋みを、麦こがしの香ばしさと砂糖の甘さがつないで飲みやすい。少し粉っぽさが残るような飲み口も、なんだか懐かしさをそそって、楽しい飲み物です。

ただ、この季節、肌寒さを感じる夕方の日が傾く時間帯に飲むには、もうちょっとイタズラをすると、もっと楽しめました。よーくかき混ぜたものを、電子レンジで軽く温めるだけ。あと、シナモンとかのスパイスもちょこっと。

これがまた、いい!

身体の芯から、暖かさがほんのりとわき上がってきて、でもヴァン・ショー(ホットワイン)よりも、味わいの素朴さ加減が、日本家屋での夕方にもうまくなじんで、相撲中継みながらでも楽しめそうな勢いです。

ここまで来たら、さらにもう一歩踏み込んで。
そう、おちらしをヴァン・ショーで練ってみました。

かなり熱めの赤ワインを、おちらしと砂糖を混ぜたものの中に混ぜ、あとはよーく掻くだけ。見た目は沈んだ赤紫の、ちょっと怪しいペーストだけど、おやつにも、お酒のお伴にもいける素敵な味わいです。

やっぱり、お好みでスパイスを加えて、どうぞ。

2009/11/19

猪肉とキャベツと牛蒡の煮込み

お友達から、の肉をもらいました。近くの山のわなでとれ、子どものものだそう。部位はよくわかりませんが、血も回っておらず、おいしそうな脂もほどよくついていて、なかなかに美味しそうです。

地方に住んでいると、時折、猪をいただく事があります。けっこう身近な食材です。これまでの経験では、味噌風味のすき焼き風もしくは焼き肉がベストだと思っていたのですが、今回は子どもの猪で風味も軽そうなので、ちょいと軽めのお料理にしてみることに。

手持ちのジビエ特集の雑誌をひっくり返し、専門料理の2005年1月号に出ていた、猪肉とキャベツと牛蒡の煮込みに決定です。ル・ブルギニヨンの菊池美升氏のルセット。

猪肉とキャベツと牛蒡の煮込み
とはいえ、ベースが郷土料理とのことで、とても簡単です。

猪肉とキャベツと牛蒡の煮込み


◎レシピ
 猪肉500gくらいで
  1. 玉葱中1-2個のスライスをオリーブ油で炒め、その後、長さ10cmで縦1/2に切った牛蒡2本を加え、強火で炒める
  2. 猪肉をぶつ切りにし、塩、胡椒。それをオリーブ油で焼く。脂を焼き切るようにして十分なあぶらを出し、その後は、美味しそうな焼き色を付ける。余分な脂を切る
  3. 煮込み用の鍋に、1の玉葱と牛蒡を敷き、その上に2の猪肉、さらに1/4個の大ぶりなざく切りのキャベツをのせる。タイムとローリエも
  4. 2のフライパンを水でデグラッセした液体と、水を肉と牛蒡がひたひたになるくらい加え、塩を加えて、弱火で1時間煮込む(オーブンなら170度で、とルセットにあります)
  5. 1時間強煮込んだら、さらに1/4個のキャベツのざく切りを追加し、もう1時間煮込む
  6. 食べる分量の煮込みを小鍋に取り、さっと茹でたキャベツ(できれば緑の部分)を加えてさっと煮て、盛りつける

特別な材料も技術もいらないし、手間を考えてもポトフなんかより全然楽ちん。キャベツと牛蒡との煮込みは、鶏や豚肉との煮込みがベースらしいので、これからの季節、気軽にたのしめそうです。

でも、やっぱり猪を使っただけの値打ちはあります。

クセがないとはいえ、肉や脂の野趣を含んだフレイバーは豚より豊か。それが浸み渡ったキャベツは、煮込んだお肉と一緒に食べると、まるでソースのように豊かな味を加えてくれて、幸せ度が高まります。香りも、ほんの少しのタイムとローリエで十分。

さらに、そのキャベツのテクスチャは、トロトロ(2時間)、くったり(1時間)、シャッキリ(仕上げ用)と三段階で、味も食感もコントラストがくっきりしていて飽きません。

無論、牛蒡の風味が全体の味わいをズドンと貫いて、心棒となっていることは説明するまでもありません。

煮込んだ鍋の図(煮込み終了後の鍋はこんなかんじ)

煮込んで柔らかくなった筋やあぶらも、煮込みならではの味わいだし、たまにはこんなお料理も楽しいものです。

2009/11/18

タジンの素(Melange pour Tajine marocain )をつかってみた

缶詰とか、乾物系とかが入っている押し入れをゴソゴソしているとき、ずっと使わないままになっているスパイスミックスをみつけました。

タジンの素
たぶん、2年前にベイルートのスーパーで買ってきた、ducrosというスパイス会社のモロッコ風タジンの素です。サイトみると、フランス旅行時にもハーブミックスとか買った記憶のある、お馴染みのメイカーみたいです。

まあ、スパイスだから香りは飛んでも悪くなることはないだろうと思い、使ってみることにしました。鶏のもも肉を買ってきて、ほぼパケの裏側にあるレシピ通り、おなじみのお野菜で調理開始です。

◎鶏肉のタジン

レシピ
  1. タジンの素をオリーブ油と水で、濃いめに溶く
  2. 大きめに切った鶏肉に1をまぶし、鍋の底に置く
  3. 野菜(今回は玉葱、じゃがいも、にんじん、ズッキーニ、トマト、ブロッコリー、赤ピーマンのかけら)などをざっくりと切り、肉の上に並べる。ドライフルーツ(今回はプルーン)も乗せる
  4. 残った1に、ほどよい味と分量(鍋に応じて調整)になるよう水を足し、3の鍋の上からまんべんなくかける。
  5. 鍋を火にかけ、1時間強とろ火で煮込む
  6. パセリや香菜などを添える

これ、すごい簡単!モロッコ風だからシナモンの香りもきっちりするけど、(ややシナモン苦手な自分にも)そんなにきつくないし、普通に美味しくたべられた。

鶏肉のタジン
タジンって、味付けは煮込み前にかける水+オイルの段階できっちり決めるから、既成のカレー粉使ってカレーつくるときみたく、キャトルエピスをベースにちょこちょこって自分好みの香りを強調して(たぶん自分ならコリアンダーとキャラウェイ効かせてチュニジア風に修正する)アレンジするだけで、ミックススパイス的な味づくりは簡単にできることなんだろうけど、やっぱりそのまま混ぜればオッケイなこの商品を実際に使ってみると、ハードルはずいぶん低いって感じます。キャトルエピスがいつも手元にある人ってのも、そういないだろうし。

タジン+スパイスミックスでググるといくつか商品がみつかります。

とりあえず買ったタジン鍋で、本格マグレブ風なタジンを試してみるには、こうしたスパイスミックスをえいやって購入してみるのは、スパイスあれこれ買うよりも、相当手っ取り早そうって感じた経験でした。

タジンで人参を煮てみた

お気に入りの食材、小っさい人参が、またファーマーズマーケットに出てました。それで、すっかり定番となりつつある人参のオレンジ煮をつくったわけなんですけれど、ちょうど台所にタジン鍋が出しっぱなしになっていたので、このお料理に使ってみました。

そもそも、今のタジンブームのきっかけは、蒸し料理ブームからの派生によるものだと思われるので、実際にいろんな雑誌とかみても、タジンの使用法では「蒸し野菜」がまず紹介されていたりして。結局、ストウブブームのときの野菜ローストと同じパターンぢゃん?とか、テレビショッピングのアメリカ風な蒸し鍋使えばいいんぢゃん?とか、考えたりもするけれど、

まあ、それはさておき、自分でも用途外で使ってみることにしました。

タジンで人参のオレンジ煮
そもそも、このお料理やコンフィなんかは、タジンと同じように少量の液体でクツクツと煮るという工程はいっしょだし、かわいく人参をならべておけば、蓋をジャーン!って開ける楽しみもありそうってことで。

そこで、こないだと同じようなレシピながら、こんどはちゃんとローズマリーを一本添えて、調理開始。トロトロと、2-30分ばかり。鋳物の鍋の厚みもあってか、いい感じに煮えました。

蓋を開けると、つやつやの人参がおでましです。

とはいえ、煮ている具材のボリュームが少ないので、やっぱりちょっと寂しい。キャベツと羊のタジンみたく、やっぱり、これだけボリュームたっぷりの鍋では、それに見合ったボリュームのものをクツクツした方が楽しかったようです。残念。