2009/04/21

コフタ(kofta)のポイントは?

アラブ風の挽肉料理、コフタ(kofta)も、ここ何年かは、すっかり肉焼な外ごはんの定番です。

コフタ焼き
僕のお料理レパートリー入りしたきっかけは、数年前のNHKテレビのアラビア語講座(今放送中のものより前のシーズン)。アラブ文化を紹介するコーナーで、横浜のアルアインのシェフがでてきて、作り方を紹介していました。それは、同じ番組で紹介していたモロヘイヤ(のシチュー)ともども、本当に間違いのないレシピで、すっかりお気に入りのお料理です。

番組の講師の先生によると、アラブ世界(エジプト方面)では、日本のお寿司チックな、ハレの食べ物だとか。

その作り方は
  1. 玉ねぎのみじん切り、パセリのみじん切り、スパイス(クミン、オールスパイス、コリアンダー、胡椒などなどお好みで)、塩をボールで混ぜて、味を均一にする
  2. 1を挽肉に混ぜ込んで、タネをつくる
  3. 2を焼き串を軸にして整形する(ハンバーグ状にしてもオッケイ)
  4. 3をグリルやフライパンで焼く

というもの。

お肉は、なんでもよいかと思いますが、基本的にアラブ圏の食べものなので、豚ミンチや合挽肉を使うことは、まったく考えたことがありません。

まず、ほんとうにコロンブスの卵的な当たり前のことながら、なるほどと思わされたのが1の工程。この仕事をするだけで、簡単に味のむらを避けられるし、味決めもほんと楽ちん。

コフタのパセリ
こんなに当たり前の手法なのに、紹介されている機会が少ないのは、ホント意外です。

コフタのタネ
そのタネには、ナッツ系を混ぜると、味わいの華やぎが増します。手堅いところで松の実。ベイルートのkaramレストランのスペシャリテは、ピスタチオ入りでした。

できあがったタネは、焼きはもちろん煮込みも全然オッケイ。ミートアンドベジタブル風に、トマト+スパイスで野菜と煮込んでも、とても美味しいし、ヨーグルト煮も美味しそう。

本当にいいお肉が手に入れば、クッベと同様に、生(nayee)もたぶん美味しいことでしょう。

串での整形は、基本的には円筒形(トルコ料理やインド料理でもこの形でなじみ深いでしょ)が基本かと思いますが、イラン料理店の写真などでは、やや平たい 形の表面に指で波形の形を付けたものもみたことがあります。焼きの写真の表面がうねっているのは、その形を意識しようとした、ためらいの跡形です。

焼きに関しては、お友達にはフライパン焼きの方が美味しいっていう人も。日本語のサイトでは、アラブ風ハンバーグって紹介されてるのを見たことがあるだけに、日本人の味覚には、よりジューシーに仕上がりそうなフライパン料理の方がマッチするのかもしれませんね。

2009/04/20

メルゲーズをつくろう!

マグレブ方面っていうより、ひょっとしたらパリののみの市やクスクスレストランでのでおなじみの人の方が多いかも知れない、羊のピリ辛ソーセージ・メルゲーズ(merguez)。もう何年前になるんだろう、クスクスパーティーを開いた時に付け合わせでつくって以来、すっかりパーティー料理の定番として定着しています。

メルゲーズ焼き
基本のレシピは、フランスの本に出ていたものを、都内の某レストランで教えていただいたものです。

材料は
  • 羊腸
  • 羊肉 500g
  • コリアンダー 1cc
  • キャラウェイ 1cc
  • フェンネル 1cc
  • 赤胡椒 1cc
  • ハリッサ 1cc
  • にんにく8かけ
  • レモン
*フランスの料理本でお約束のCCは珈琲スプーン=cuillere a cafeのこと。いつも小さじ程度のつもりでやってます。ちなみにCS=スープスプーン

レシピは、挽肉、ソーセージ用の塩蔵の羊腸を使うことを前提で(肉をミンチにするのと、腸の下ごしらえは割愛)
  1. 羊腸を15cmに切る
  2. 羊ミンチに塩とスパイスを混ぜる
  3. 羊腸に2の肉を詰め、端をひもで縛る
  4. 3の何カ所かを針で刺す(中の空気を抜く)
  5. 4を陰干しする
  6. ソーセージをグリルまたは揚げる
  7. レモン汁をかけていただく

というもの。

メルゲーズ練り
実際の調理では、ミンチに混ぜるスパイスはハリッサの素をベースにして、辛さが一定レベルに達したら、キャラウェイやコリアンダー、クミンなどの香りを補っていくという感じ。塩はだいたい2-3%くらいかしら。

ただ、本の分量でつくってみると、スパイシー感もピリ辛感も足りないので、実際はたぶん2倍くらいのスパイスを入れてます。一方で、にんにくは乾燥パウダーを使っているけど、本の半分量もいれてないかも。

で、練り合わせたお肉は必ずフライパンで焼いて味見して、味を決めてます。肉が余ったら串焼きにしたり、ただハンバーグ状にして焼くだけでも、美味しくいただけます(やっぱりソーセージにした方が、噛み切った時のプッチリ感や、肉汁がドバっと出てくる楽しさは断然上だけど)

メルゲーズ詰め
肉は、ハンドスタッファーっていう(らしい)コーキングの道具みたいなやつで、塩抜きした羊腸に詰め込んでいきます。本では羊腸を切ってたけど、いつもは長く長ーく詰めてって、両端を結んで、あとは適当な長さにひねってできあがり。

ハンドスタッファーは東急ハンズで購入。絞り袋にソーセージ用な口金を付けてもできるけど、道具使った方が一定の分量のお肉を絞り出せるから、作業がとても楽ちん。

本格的なスタッファーはとても手が出ないし、置き場にも困りそうだけど、ハンドスタッファーならそんなに高くないし、年に1,2回のソーセージ作りのためにでも、持っていて損はないと思います。

あとは、できあがったソーセージを生のまま焼くだけ。今回は炭火でグリルしてのみの市気分だけど、フライパン焼でも全然オッケイ。ある程度つながったまま火にかけて、焼きながらナイフで切っていくっていうざっくりとした調理法でやってます。

焼き上がったら、そのままかじったり、クスクスに添えるのはもちろん、春先の外ごはんだったらパンに挟むと、冷めずに熱々をずっと楽しめるからベストの方法かもね。

ソーセージづくりは、結構面倒くさそうだけれど、やってみるととても簡単。肉を混ぜたり、腸詰めしたりする作業は、みんなでやると楽しいし、ちゃんと味見すれば大失敗もない。しかも、メルゲーズだったら、すぐ焼くからスパイスを混ぜる時の温度もそれほど気にしていないし、スモークも下ゆでもなく、詰めたら焼くだけ。

もし、お友達にフランス人やフランス滞在経験のある人がいれば、特にオススメです。クスクスは簡単につくれるけど、メルゲーズとなるとなかなかつくれない。

個人的には、メルゲーズはフランス人にとって、日本人にとっての餃子みたいな食べ物だと思っています(ちなみにクスクスはラーメンのポジションかと)。だから、そんなお料理が食卓に並んだ時、彼・彼女らが尋常じゃない喜び方をしくれるであろうことは、想像に難くないでしょ?

2009/04/19

今年の花見のお料理

今年も、毎年恒例になっているレバニーズを中心としたメニューでの花見パーティーを開きました。メーンはカバブ系のお肉。そして、ずらっと並んだサラダ系の前菜(メゼ)。

メゼはいつものおなじみのお料理を並べて。今年は揚げ物をつくらなかったから、ちょっとボリュームが足りなかったかも(お友達の持ち寄り品が充実してるので、ぜんぜん気にならないけど)

メニューはこんなかんじで。

花見の前菜
  1. タブレ(レバノン風、パセリ多め)
  2. フールメダミス(空豆のあっさり煮)
  3. チュニジア風ツナサラダ
  4. ホンモス
  5. ヨーグルト(脱水・水切り)ときゅうり
  6. 薬味のハリッサ
  7. オリーブと唐辛子のピクルス
  8. ミックスナッツ(レバノンのal rifaiからお取り寄せ)
  9. サラダ

お肉は、

コフタとケバブ
(写真は、手前がコフタ、上が羊のケバブ)

今回はじめて挑戦したのは、旅の美味しい記憶も鮮烈な腎臓料理。ただ、豚マメの調理で何度も失敗した苦い経験があるので、慎重には慎重を期して下ごしらえしました。

この腎臓と、牛肉のコフタ、メルゲーズについては、追々、別エントリでレシピをご紹介予定です。

今年は気温も高く、夕方過ぎには風も止んで、例年にない暖かさで食事を楽しむことができました。

カリブ帰りってことで、バーコーナーも設置し、ティ・ポンシュやプランターといったラムカクテルも楽しめるようにしたのですが、これがまた、桜と青空の下で飲むと格別。去年は、シードルやカヴァみたいな泡系なお酒がお伴だったのだけれど、ラムがお伴だと、よりエキゾ気分高めな気持ちのよい午後となりました

2009/04/18

マハシーの残りでオムレツ

こないだのヨーグルト煮のマハシー。ズッキーニの量が少なかったので、ほぢくった中身も少なく、ババガヌジ風にするには足りない。それに、中に詰めた牛ミンチや玉ねぎもほんの少量だったので、使いかけが余ってます。

そこで、この中途半端な分量の材料を全部オムレツに!ついでに、残っていたマッシュルームのフリカッセも使って、3種類のオムレツ祭にしてみました。

今回はいずれもオリーブ油焼きにしましたが、フィリングのテクスチャや、加えるハーブやスパイスの加減で香りの振り幅を付けてみました。

その1 ズッキーニのオムレツ

ズッキーニのオムレツ
  1. ほじくったズッキーニの果肉を食べやすい大きさに切る
  2. 1をオリーブ油でクタクタになるまで炒め、塩、胡椒、エルブドプロバンスなどで味付け
  3. 2のフィリングを入れてオムレツを焼く

ズッキーニは、皮がなくて中身だけだと風味は薄めなので、このオムレツはハーブの香りも控えめでおとなしめに。

その2 挽肉と玉ねぎのオムレツ

挽肉と玉ねぎのオムレツ
  1. たまねぎの粗みじん切りと牛ミンチをしゃっきりと炒める
  2. 塩、胡椒、オールスパイス、多めのドライミントで味付け
  3. 2のフィリングを入れてオムレツを焼く

ズッキーニとは対照的に、こいつは結構しっかりめの香り付け。オールスパイスの香りが下地となり、その上でミントの香りがグワって立つくらいに効かせました。玉ねぎも、すっきりした香りに似合う歯ごたえを残してね。

その3 マッシュルームのオムレツ

マッシュルームのオムレツ
  1. マッシュルームのフリカッセ(基本的にはオリーブ油炒め)を食べやすい大きさに切る
  2. 1のフリカッセを入れてオムレツを焼く

このマッシュルームは、茶色いやつを使用。やや多めのオリーブ油で炒め、パセリを加え、レモン汁を振って仕上げてあります。マッシュルームのプリプリ感と、レモン+パセリのすっきり感で勝負です。

2009/04/05

ヨーグルト煮のマハシー

僕が春本番を感じる指標の一つは、ズッキーニの値段がバンバンに使いたくなるくらい安くなることです。そのタイミングが先週訪れました。

でも、安いお店の店頭に残っていたのは2本だけ。

この限られたチャンス。せっかくだから定番以外に挑戦してみようということで、いつものマハシーとは気分を変えて、ヨーグルト味で煮込んでみました。

ヨーグルト煮のマハシー
レバノン料理の本を読んでいると、クッベ(kebbe,kibbe,kibbi)をヨーグルトで煮込んであるレシピはよく出ているし、どっかの食堂で朝ご飯に食べたファッタっていう料理は(作り方はこんな感じ=リンクはyoutube動画)にも、たっぷり温かいヨーグルトがかかっていました。ヨーグルト煮は、よくありそうな味です。

ヨーグルト味のクサマハシー(クサ=ズッキーニのこと)も、手持ちの料理本の中でもお気に入りな「le vrai gout du liban」に出ていて、ずっと気になっていた一品。

ヨーグルト色の煮汁の中に、少し薄めの緑色のズッキーニが見えている景色に、どうにもチャーミングな味わいを想像させられて、一度つくってみたいと思っていたのです。

◎レシピ
  1. ズッキーニをマハシ用に準備する(中の果肉をくりぬいて、米、挽肉、玉ねぎ、パセリ、スパイス、塩、レモン汁、オリーブ油を混ぜたものを詰める)
  2. 1をブイヨンで30分煮る(レモン汁は加えない)
  3. 2にヨーグルトをたっぷり加え、さらに15分煮る
  4. 煮上がったらミント(今回はドライを使用)、オリーブ油をかけ、しばらく休ませる

ヨーグルトは、相当たくさん。ヨーグルトをブイヨンで伸ばす、って感覚でつくれば大丈夫だと思います。

初めてつくったけど、失敗なく美味しくできました。ハードなミント好きなため、できたてで思い切りミントの香りが立ち、ヨーグルトやオリーブ油も渾然一体となった香りが、最高にいい気分です。

当然、ちべたくなっても美味しいのはトマト味と同じ。見かけも、夏は涼しげで、冬には雪の中の下萌を感じさせる暖かさもあり、味わいだけでなく、食卓の彩りの面でも、一年中楽しめそうなお料理です。

ホワイトアスパラを定番のソースで

こないだ所用で金沢にお出かけした際、近江町市場でホワイトアスパラガスが売っていたので、つい買ってしまいました。季節もので、値段とかまったく見ずに、勢いで「頂戴!」って言ってしまっていました。

さて、何にするか。

基本はオランデーズソースだろうけど、座右の書「ロビュションの食材事典」に出ているムースリーヌソースは、未経験だったので、チャレンジJOYしてみることにしました。

とはいえ、本によるとればオランデーズに生クリームを加えてできあがり、ってことでちょちょいのちょいと。

ホワイトアスパラガスのムースリーヌソース
走りのものってことで、あんまり本数買ってこなかったので、ほんのアミューズ程度な量しか食べられなかったけれど、パンと一緒に初物気分はたっぷり楽しめました。

◎レシピ(卵黄2個分で、食材事典に準じる)
  1. アスパラは根本の方の硬い部分を切り落とし、下の方は皮を剥いて、しっかりとクタクタになるまで茹でる、まずは根本の方を2-3分茹でて、その後、全体を湯に入れる
  2. 卵黄2個と適量の水(今回は少なめ)を泡立て器でよく混ぜ、さらに湯煎にかけながらSの字を書いて底が見えるようになる程度まで混ぜる
  3. 2にすましバター100gをすこしずつ加えて混ぜる。塩で味を調える(今回は使わなかったけれどカイエンヌペッパーも使うものみたい)
  4. 3でできあがったソースに、生クリーム適量を混ぜる

最初はバターはそのまんま加えればいいやっ、って思っていたけれど、手抜きして電子レンジにかけたら丁度澄ましバターになったので、結果オーライで。

あと、アスパラ料理は、洋風の場合はクタクタに柔らかくなるまで煮るに限りますね。こんな定番ソースも美味しいけれど、一番すきなのは何年か前に一回だけつくったことがある、ビールでクタクタに煮たお料理かしら。今年あたり、機会があればも一回つくってみたい!

それにしても、この盛りつけは・・・

茹でたてを、とにかくすぐに食べなければいけない、って本にも書いてあったので、あわてて気を遣う暇もなくやっつけで写真を撮りました。

見苦しくて、すみません。

ハリッサの素をつくった

こないだのクスクスで、薬味のハリッサ(=フランス語読みではアリサ、harissa)の素がなくなってしまいました。もちろん、素がなくなることを想定してカルタゴさんに材料を追加注文しようとすると、もうその商品はない、とのこと。

仕方がないので、自作しました。

ハリッサの素できあがり
ほんとうは、もっといろんなスパイスが入っているのかもしれないけれど、今回はマグレブ三元素のクミン、コリアンダー、キャラウェイと唐辛子だけで。

ハリッサの材料
ミルサーを取り出してきて、まずはホールの三元素各20gを粉に。

まずはスパイス三種
そこに唐辛子(今回は韓国産粗挽き)を三倍量の60g加えて、さらにウイーんって回してできあがり。

さらに唐辛子を追加
三元素は、基本的は同量だろうけれども、個人的には

キャラウェイ>コリアンダー>クミン

な配分が、より一層香りが華やぐので好み。クミンはどうしてもフレイバーが強烈すぎるから、気持ち少なめにした方が、(コロンボもそうだけれど)インドチックなカレーのフレイバーとは一線を画した、華やかなエキゾ感があってよいのではないかとおもいます。

そういう意味では、にんにくもない方が、キャラウェイとコリアンダーの香りがピーンって通るので、より自分好みです。