2008/09/14

Rhum::トロワリビエール編(詳細な蒸留課程の説明付き)

トロワリビエール
レンタカーを借りて、最初の本格的な見学がトロワリビエールです。

ここは(オフシーズンに)最初の見学にはとてもよい場所でした。

第一に、わりとしっかりガイドツアーをしているので、かなり詳細な蒸留過程の説明を受けることができたこと。次からの見学の基礎知識をしっかり身につけるという点で、担当してくれた若いガイドさん(お父さんもこの蒸留所で働いているとのこと)は、とてもよい方でした。

もう一点は、空港からのアクセスがとてもよいこと。

空港からオートルートを南下すると、2-30分で、ボトルでおなじみの風車が見えてきます。ほんとうは、その風車が見える前に、トロワリビエール村にいくための分岐点があるのですが、あえてそこでオートルートを降りず、少し逆戻りする形になっても、次の分岐点まで進んで行く道程の方が、最初の蒸留所訪問としては気分の盛り上がりがあってベターかとおもいます。

*****

さて、

トロワリビエール(trois rivieres=三つの川)は、あるいみ、今の日本でいちばん受け入れられ易いマルチニークのビュー(vieux=古い)ラムではないかしら。優しくて(かといってデパズほどメロウではなくて)、クレマンのような強い癖も弱く、普通にすんなりと美味しく味わえるから。

その三つの川とは、

オマーン(omam)川
ボアダンド(bois d'inde=インドの森)川
サン・ピエール川

のことだそう。この三つの川の水は、実際に蒸留の時に使う蒸気や、サトウキビのジュースに混ぜる水に使われていて、蒸留所の中で、

3つの川の水の配管
この三系統(左からオマーン、ボアダンド、三つの混合した水が流れるライン、一番右がサンピエール)の水が一体となって、蒸留に関わっているそうです。

展示栽培されているさとうきび
ここの工場も、かなり大きく、さとうきびの受け入れ箇所はかなりの広さ。自社関連で580ヘクタールの畑を持ち、そこから買い上げたさとうきびが、そのままさとうきびを絞って、ジュースを絞る行程の機械に運ばれるようになっています。

ここでは、はじめてガイド付きで詳しくラムの製造過程を聞くことができたので詳細に記載しておきます。

ムーラン
その機械では、買い入れたさとうきびをまず20cmの長さにカットし、さらにそれを粉砕して、ムーランでぐりぐりとジュースを絞ります。そのジュースに、ブラン(白)には水を加えて、アルコールに発酵させる槽に溜め、24時間の発酵で4%のアルコールを含む液体に変わるとのこと。

水を加えることで、より「クリスタルな味」になるということ。

別の蔵で聞いた話では、スポンジに水を含ませて絞ると、スポンジの中の洗剤がより多く絞り出せるように、加水することで、より多くの糖分を抽出し、アルコールに転換できるのだそう。

キューブメール
ちなみに、いくつかの発酵槽のうち、揚げ底のようになっているものがあり、それはキューブ・メール(cuve mere)というそう。キューブは槽、メールは母。妊娠して子供をはぐくむように、発酵することからその名がついていて、とくにこの槽ではビューラムに使われるアルコールが造られるということです。

ところで、絞りかすとなったさとうきびは、火を燃やした熱で乾燥されます。で、乾燥されたさとうきびのかす(バガス)が、今度は燃やされて、次のさとうきびの乾燥のための熱源となるという次第。

さらにこの熱は、三つの川から引き込んだ水も熱して蒸気を起こすために使われ、その蒸気が蒸留の熱源となるのです。

カラム
さて、発酵槽で発酵・醸造されたアルコールは、蒸留器=カラムに行って、蒸気によって蒸留され70%の濃度のアルコールに蒸留されラムとなります。

カラムに浮いた銅の錆
カラムは銅製。ガイドさんは、展示してあるカラムの蒸気が抜ける部分に浮いた銅独特の緑色の錆に触れ、「銅を使うことで、アグリコールラムの香りが生まれる。インダストリアルなラムとの違いだ」と説明してくれました。

できあがったラムは、規定に従って熟成、出荷される訳ですが、この蔵ではビューラムには主にコニャックやアルマニャックの樽を使用とのこと。ここいら辺の樽の材料は、お約束でリムーザン産の樫が原料とのことです。

0 件のコメント: