2008/09/26
Rhum::デパズ編
個人的にデパズ(depaz)のヴューラムは、とても上品でメロウで優しい印象。雄大なペレ山の麓に、広々とした敷地に蒸留所とシャトーを構えるデパズは、そのイメージをまったく裏切らない、美しい蔵でした。
1902年のペレ山噴火まではマルティニークの中心都市だった、カリブ海側北部の町、サンピエール(saint pierre)から山間に少し走った高台に敷地は広がります。重厚な雰囲気の入り口を入ると、左手にはシャトー・デパスが。まんまフランスの田舎のようなシャトーですが、眼下にはさとうきび畑とカリブ海の青い海が広がります!そして、オープンのメルセデスが広々とした芝生の敷地の中を通って、塀の中へと入っていきます。
広々とした敷地に広がる蒸留所の施設も、芝生や木々はしっかり手入れの整った環境の中にあります。売店兼事務所の建物で受付を済ますと、見学順路はまず水車のある方へと向かいます。
そこでは、川から引き込んで敷地を流れる水に着いての説明が。蒸留に使うだけでなく、水車を動かしたり、発電用のタービンを動かしたり、シャトーの噴水にも使われている水の循環が説明されています。
順路は次に、蒸留設備へ。なかなかの大きさで、大きな発酵槽もけっこうな数が並んでいるし、高さが10m近くありそうな大型の銅製カラムも3本鎮座しています。ここではディロンのラムも蒸留していて、左の2本がデパズ用だそう。
いつもの基本事項を説明パネルで確認すると、発酵時間はここも48時間で、できあがるワインのアルコール度数は5-6%。それを55%のアルコールを含むラムに蒸留するそうです。
蒸留したてのラムは「80%」という蔵もある中、かなり低め。この辺も、あのメロウな味わいと関係してくるのでしょうか?
続いてコースは酒蔵へ。ガラス張りの見学蔵でビューラムの熟成風景が覗けるほか、外にはブラン用のでっかいステンレスタンクもあります。
この当たりから、見学コースには鐘だったり、古いポンプだったりと昔の道具も並べられ、古いカラムなどの蒸留器具やマークを集めたミュゼのような建物に続きます。セントジェームスなどほかにもラム博物館はありますが、ここの展示もなかなかに見応えがあります。
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見学を終え、お買い物も済ませると、レストランまであるこの蔵。非常に気分のよいところで、プランテーションな雰囲気というか、コロニアルな雰囲気というものを強く感じさせてくれるのですが、後日、島の別の場所で既視感を感じました。
そこは、タルタヌ(tartane)という、大西洋岸中部の村の先にある、シャトー・デュブック(chateau dubuc)という17-18世紀ころのプランテーションの遺跡。別に、「結局は奴隷によってもたらされた繁栄だ!」などと、顔をしかめて語るつもりはありませんが、シャトー・デュブックをラムの蔵巡りのついでに足を伸ばして訪ねておくのは、砂糖やラムの歴史=奴隷の歴史であるということを、ミュゼとは違い、(現在のプランテーションとの対比で)体感的に島と奴隷の歴史を感じることができるという店で、とても貴重な経験だと感じました。
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なお、この蔵からさらに山間にクルマを走らせるとモルヌ・ルージュ(morne rouge)の町。ここの中心街の教会近くに展望台があるのですが、ここからのペレ山の眺めはまたひとしおです。
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