2009/09/06

Vive la ketchuppy!**ケチャップ愛を語る

先日、NHKのためしてガッテンという番組で、トマトケチャップについての番組が放送されていました。

ケチャップといも天
僕は、数ある調味料の中でもトマトケチャップが大好きで、ケチャップ愛の強さにはかなりの自負があります。当該番組も、そのよさをアピールしてくれているという点ではうれしいのですが、結局トマトの力を語るのみで、ケチャップ本来の実力の一部を説明したに過ぎない内容です。うまみだけなら、トマトコンサントレで十分ぢゃん。

残念ながら、制作者のケチャップ愛は足りないと言わざるを得ません。

さて、そんな僕はかつて、お友達のフリーペーパーにケチャップ愛を語る文章を寄稿したことがあります。もう10年近く前です。マヨチュチュな社会情勢の中、純粋マヨネーズ批判の形を取りながら、ケチャップの実力を礼賛したものです。

放送内容があまりに悔しかったので、今回、緊急再掲することにした次第です。

Vive la ketchuppy!

僕はトマトケチャップ愛好家です。

ファストフード店でポテトを注文したとき、店のおねえちゃんに「ケチャップ4つですかあ?(Sポテトの場合、Mのときは5、6個)」と怪訝そうな顔をされても、ケチャップは必須で正しい調味料なのです。世間一般に「マヨラー」と呼ばれる多くの信奉者を抱えるマヨネーズとの比較との上で、その優位性を明らかにしたいと思います。

まず、強調したいのは、ケチャップの味はトマトの旨み、換言するならグルタミン酸の旨みに基づいているということです。一般的に、あの甘ったるい味から、お子ちゃままたはアメリカ人の味覚の代表とされるケチャップの味ですが、味の基本はトマトのグルタミン酸の旨みであるということを再認識すべきです。

トマトの旨みは、地中海地方の味覚の根本を魚醤(ガルム)から奪い取った偉大な味わいです。魚醤の代替物という意味では、アジア世界における大豆醤油の旨みと同じくらいの価値を持つのです。この点だけでも、単調な油脂の味が支配的なマヨネーズとの優位性がご理解いただけると思います。

ところで、読者各位はどのような食品にケチャップを使用しますか?定番はオムライス、フレンチフライポテトなどといったところでしょうか。僕はさつまいもの天ぷらにケチャップというのがフェバリットです。まあ好みは人それぞれですが、ケチャップの相性のよい食品の共通項の一つとして挙げられるのは、油脂の味ではないでしょうか。揚げ物はその端的な例でしょう。

ケチャップは、まず前述のきっちりとした旨みで、強力な油脂の味を受けとめるだけの基礎体力を持っています。少しぐらい疲れた油脂で調理された食品でも、受容するだけの懐の深さがあり、腰砕けにならないのです。

その上で、あの酸味です。濃厚な油脂の旨みを緩和する作用があります。マクドナルドのポテトは動物油脂フライが特徴で、独特の“むつこさ”がありますが、酢とトマトの酸味はその濃厚さを和らげ、コクをより強調してくれます。これは、ラードフライの多い肉屋のコロッケとの相性のよさや、とんかつ専門店のたれがウスターソースだけでなくトマトの味が加えてあることが多いこととも無関係ではないと思います。

さらに、砂糖の甘味が油脂の甘味とあいまってマイルドな味わいに奥行きを与え、各種香辛料が甘、酸、塩、旨みといった強力な味わいのバランスをとっています。ケチャップ=ジャンクフードという図式が世間では出来上がっていますが、これは、すこしぐらい駄目な食品の味も矯正しうる、ケチャップの調味料としての類稀な実力が生んだ不名誉な誤解ともいえます。

まとめますと、ケチャップによって得られる美味しさは、これまで述べたような複雑な味わいが相互作用しあって成立しうるものではないかとおもいます。強力な油脂の旨みと酸味によって食材の味をねじ伏せて得られているマヨネーズの味わいとは違い、ケチャップはより複雑な呈味プロセスによって、食品の味を支えていることがご理解いただけたのではないでしょうか。以上の点を再確認された上、読者各位がケチャップの価値を再発見されることを希望します。
尚、今はアンチイスラエルな立場から、マクドナルドに行くことはほとんどありません。

0 件のコメント: