2016/10/23

大本山永平寺の典座老師の本がすばらしいすぎる件。

もう2年以上前ですが、曹洞宗の大本山永平寺典座老師の料理をまとめた本「身近な食材を使って~三心(まごころ)でつくる典座和尚の料理」が出版されました。永平寺の機関誌「傘松」に掲載されていた連載をまとめたものだそうです。

さっそく購入して、手に取ると、内容がすごい!ページを繰る度に気になるお料理がザクザクで、付箋が次々と刺さっていきます。いくつかのお料理も実作しました。じゃがいもの水晶炒め(P12)や炒り豆腐(P140)は何度も実作して、すっかり定番の常備菜です。まだ作っていないお料理の中では大根おろし饅頭(P76)が、この冬こそ実作したいのですが、こんなお料理を作ろうと思うのは自家製叉焼が余ったタイミングなので、精進な心を忘れて、いつもついつい大根餅に路線変更してしまいます。

そのほか、アボカド料理の充実など新しい野菜の取り入れ方の意欲もすばらしいし、イタリアン風などアレンジも自在。クリーミーそうな里芋ソース(P108)や蓮根汁(P184)など、食材の質感を変えつつも、その個性を残す技にも惹かれっぱなしです。

そんな超絶レシピを、最近アレンジに活用させてもらった事例があったのでそのご報告です。

まずは、イチジクのゴマクリームソースがけ(P8)のアレンジ。
本書では、生の無花果に練りゴマとホイップクリームをベースにしたソースをかけたものでしたが、それをシロップ煮の無花果に応用して、お客様料理の前菜の一品にしました。

その料理は、急遽つくることになったのであるものでしのいで。タヒーナ(タヒニ、中東のゴマペースト)にありあわせのコーヒーフレッシュを合わせ、昆布茶で味付け。それを無花果のシロップ煮にかけて、ざくろモラセスをたらして、ミントを飾りました。

字面はバッキバキに中東風ですが、無花果の甘さとソースのコクと塩味、ざくろモラセスの酸味がまったりと調和して、普通に和風で絶妙なバランスです。もちろん、ミントも飾りではなく好きな方がちゃんと食べれば、ちゃんとおいしく効いてくれます。

もう一品は、上記じゃがいもの水晶炒めの味付けを応用した事例。糸瓜(金糸瓜、そうめんかぼちゃ)を料理することがあったのですが、その日のメニューにはなにかと酸っぱい味が勝ったものが多く、定番のなますやサラダ系な味は避けたい雰囲気でした。

そこで思いついたのが水晶炒め。いつもより歯ごたえが残る程度に茹でた糸瓜をほぐしてくせのない油で炒め、塩、少量のうす口醤油と味の素(このお料理の場合とても大切)で味を調え、水晶炒めより少なめの酢を差しました。入っていることが分からないくらいの隠し味程度に。

油がさっぱりしている分をいりごま(黒)の風味を足して、赤ピーマンの細切りを差し色にしてできあがり。水晶炒めの方法は、なかなかに応用範囲が広そうです。

という風に、何度手にしても発見や、新しい発想をかきたててくれるこの一冊。と、今手にとって開いたさつま薯と南瓜の緑酢和え(P154)も、これまで未チェックながら、先日鹿児島からさつま薯(しかも三色)が届いた折、この季節のうちに急ぎ実作したい一品です。

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