大晦日ってことで、お蕎麦系のエッセイなエントリです。
地元・越前のそばといえば、なんたっておろしそばです。一家言ある人も多く、自分でそば打ちする人も多いだろうし、店も個性豊かで、人それぞれに贔屓のそば屋があります。
そこで、最近の自分の好みの越前のそば(本稿は基本的にそばそのものについてのみ語ります)はというと、一つは太めの田舎そばを柔らかく茹でたもの。そして、もう一つは個人的に「宇野重吉系」とカテゴライズしているそばです。
俳優の宇野重吉氏は、越前のそばをこよなく愛したとのことで、往事は氏の愛したそば屋はたいそう人気を博していた印象です。福井のMさんとか、今庄のFさんとかが代表的なところでしょうか。麺がピラピラと薄めの食感で、大人しめな味わいは、氏が愛した店に通じるものがあります。食感そのものが柔らかいそばともども、ここ数年来、妙に美味しく感じられるようになってきたそばです。
しかし最近はというと、宇野重吉系は少し勢いがないような印象を抱きます。地元のそば好きの大勢が好むのは、挽きぐるみで色が黒く、太めで固めな噛んでガッツリ旨いそば。もしくは、そば打ち名人系(=コンクールでは審査委員が江戸そばの大御所なため、細くてシャッキリ打たねばならず、そのコンクールみたいなそばを越前スタイルで出す店もなかなかに多くなっている)でしょうか?
そして、宇野重吉系の押しの弱さは、前時代の遺物的に語られるような印象さえ受けます。そばトークしてても、その系列の店の名が出ると「ああ」とか「そういえば」的なリアクション受けたりします。
でも、個人的には宇野重吉系は、もっと楽しまれていいそばだと思います。
それは、どうしてもはっきりくっきりした味が評価されがちな越前そばワールドで、比較的繊細に味わってみたいそばの食感は貴重だと思うからです。そして、もっと重要だと思うことは、越前そばの本当の楽しさは、なんといっても振り幅の大きさ、個性の多様さにあり、往事の“こだわりな店”な仕事のそばが一つのスタンダードとして存在することは、その多様性を下支えする大事なベースだと思うからです。
地域ごとに在来種しか使わなかったり、ほとんど麺の体裁をなさない切れ切れの太い十割そばをハイミーたっぷりの汁で食べたり、越前の各地域には本当に個性的(?)な土着のそばが残っているし、それが一番うまい、って言い張れる人がたくさんいることが、越前のそばの一番の魅力だと思います。
自分が、宇野重吉系や、柔らかいそばの魅力(噛んでるとそばの甘みがしっかり感じられるのが好き)を再発見できたのも、ある山里で在来種を作り続けているおっちゃんと話した時「俺は自分が作ったそばを柔らかく茹でて、自分で作った汁で食べるのが一番」との言葉に、ピンと来るものがあったからです。
個人的に、越前のそばは好きですが、越前のそば好きには時折眉をひそめたくなることもあります。それは、ティピカルな越前おろしそばの味に固執する余り、たとえば更級系などは理解しようとしない態度が苦手だからです。そんなそば好きが「ああ、あれね」とか言いそうな宇野重吉系を改めて食べてみることで、自分の経験からすると、そばに対する蒙を啓いてくれものが何かしらある筈です。機会をみて、ぜひお試しになられることをオススメします。
*このエントリは、数年前にmixi日記で書いた内容をベースに、ほぼ全面的にリライトしたものです。
2012/12/31
2012/12/13
ざくろモラセス風味のチキンウイング
前のエントリに続いての、やってみたシリーズ。
各種SNSでは、レバノン方面のレシピ情報などもウオッチしていますが、レバノン版ハウス食品な(って勝手に思ってる)Al Wadi Al Akhdarって会社が、いまいち使いかねていたざくろモラセスを使ったレシピを紹介していました。
ひとつはファトゥーシュ(パン=フブス入りのサラダ)。そしてもう一つがチキンウイングの料理です。
これまではモラセスって言葉の響きから、肉焼いたフライパンに注いでソースにしたり、お菓子などに混ぜ込んだりっていうマーサスチュワート系なイメージを抱いていましたが、このレバノンハウス食品のレシピは、まあ目から鱗。要はバルサミコチックに用いればよかったみたいです。
で、特に気になったのは後者のチキンウイング。この会社のレシピを参考に実作です。 ぱっと見は、バッファローチキンウイングみたいな雰囲気だけど、シナモンとコリアンダーの取り合わせがベースになったフレイバーで、しっかりエキゾに楽しめます。
チキンウイング(メイカーのレシピ)
◎材料
◎レシピ
サイトに出ているレシピはこんな感じですが、少し作り方をアレンジ。
鶏肉は手羽先と手羽中をミックス。それに塩とスパイスをすり込んで、下味をしっかり付けたものを、揚げ焼きにしました。油はサラダ油系の植物油を使用。コリアンダーの半分は、盛り付け後に振りかけました。
で、一番大事なポイントは、最後の「5分間なじませる」の行程。
皮目のパリパリ感が気になって出来立ても食べてみたけど、「5分間」があった方が、鶏やスパイスのフレイバーとモラセスが一体になるし、ざくろやレモンの酸味も程よく落ち着くし、で断然おいしくいただけます。
ちなみにこの会社、旅行に行ったときに立ち寄ったスーパーでおなじみのメイカー。普段ホンモスやババガヌジ(ムッタバル)の盛り付けにも使う茶色い器は、ファラフェルの素についてきた粗品です。
各種SNSでは、レバノン方面のレシピ情報などもウオッチしていますが、レバノン版ハウス食品な(って勝手に思ってる)Al Wadi Al Akhdarって会社が、いまいち使いかねていたざくろモラセスを使ったレシピを紹介していました。
ひとつはファトゥーシュ(パン=フブス入りのサラダ)。そしてもう一つがチキンウイングの料理です。
これまではモラセスって言葉の響きから、肉焼いたフライパンに注いでソースにしたり、お菓子などに混ぜ込んだりっていうマーサスチュワート系なイメージを抱いていましたが、このレバノンハウス食品のレシピは、まあ目から鱗。要はバルサミコチックに用いればよかったみたいです。
で、特に気になったのは後者のチキンウイング。この会社のレシピを参考に実作です。 ぱっと見は、バッファローチキンウイングみたいな雰囲気だけど、シナモンとコリアンダーの取り合わせがベースになったフレイバーで、しっかりエキゾに楽しめます。
チキンウイング(メイカーのレシピ)
◎材料
- チキンウイング1.2kg
- バター大さじ1
- オリーブ油大さじ3
- にんにく6かけ
- 白こしょう小さじ1/2
- シナモン小さじ1/2
- コリアンダーの葉(みじん切り)1/4カップ
- ざくろモラセス1/4カップ
- レモンジュース大さじ3 塩
◎レシピ
- バターをソースパンに溶かし、チキンウイングを入れ、オリーブ油、にんにく、スパイスを加えて、鶏をこんがりと焼く
- コリアンダーを加えてかき混ぜ、レモンジュースとざくろモラセスを振りかけてよくからませ、5分ほどなじませる
サイトに出ているレシピはこんな感じですが、少し作り方をアレンジ。
鶏肉は手羽先と手羽中をミックス。それに塩とスパイスをすり込んで、下味をしっかり付けたものを、揚げ焼きにしました。油はサラダ油系の植物油を使用。コリアンダーの半分は、盛り付け後に振りかけました。
で、一番大事なポイントは、最後の「5分間なじませる」の行程。
皮目のパリパリ感が気になって出来立ても食べてみたけど、「5分間」があった方が、鶏やスパイスのフレイバーとモラセスが一体になるし、ざくろやレモンの酸味も程よく落ち着くし、で断然おいしくいただけます。
ちなみにこの会社、旅行に行ったときに立ち寄ったスーパーでおなじみのメイカー。普段ホンモスやババガヌジ(ムッタバル)の盛り付けにも使う茶色い器は、ファラフェルの素についてきた粗品です。
2012/12/11
ごぼうのソース煮
先日、遠出の電車に乗るのにたまたま買った朝刊(朝日12月5日付・大阪10版22面)を読んでいると、オピニオン面に、このブログ的に可成り気になる投書がありました。
見出しは「伝統の味 ゴボウのソース煮(リンク記事は、会員登録なしで全文は読めません)」。声の主は京都の81歳の方。なんでも、裕福な家庭で育ったこの方の祖母が、貧しい生活に追い込まれ、慣れない台所仕事で醤油とソースを間違えてしまったことからできあがった料理だといいます。そして、それがお正月料理の定番として受け継がれているそうです。
81歳の方のお祖母様っていうと、相当昔だろうから、時代を考えるとなかなかにハイカラな料理。しかも、文面はおろか見出し見るだけで、美味しいことはたやすく想像できます。当然、実作です。
この投書によると、作り方は
とのこと。
ゴボウの分量は不明ですが、この調味料の分量から察するに、3本くらい入った1パックで丁度いいかと思います。
実作時には、調味料に適量の水を加えて、ある程度ごぼうが柔らかくなるよう30分くらい煮て、最後に煮汁を煮詰めて絡めるようにしてみました。ソースの香辛料の香りと酸味でごぼうの甘さが引き出され、その一方でアクがアクセントになって、予想通りにうまいです。
ただ、上記の作り方ではちょっと味が濃かったので、きんぴら風の味わいを目指さないのなら、薄めで入った方がベターかと。自分でこれから作る時には、飲める程度の煮汁でじんわりと煮含めて、甘くやわらかくごぼうが仕上がった所で、濃い味をつけて煮詰めて絡める、という方法でいこうと思います。
あと、オリジナルにないアレンジとしては、半量はバターでモンテしてみました。これは個人的に必須です。というのも、福井の洋食系ソースかつ丼にしても、百年食堂風ソースカツ焼き飯にしても、動物系なあぶらの風味はソース系の味わいに芯を通し、深めるために欠かせません。
今回、ソースはカゴメとヒカリを50:50で使用しましたが、おかず目的かお酒のお伴か、食べ手の好みがどうか、などによってソースを使い分けるのも楽しそうです。
見出しは「伝統の味 ゴボウのソース煮(リンク記事は、会員登録なしで全文は読めません)」。声の主は京都の81歳の方。なんでも、裕福な家庭で育ったこの方の祖母が、貧しい生活に追い込まれ、慣れない台所仕事で醤油とソースを間違えてしまったことからできあがった料理だといいます。そして、それがお正月料理の定番として受け継がれているそうです。
81歳の方のお祖母様っていうと、相当昔だろうから、時代を考えるとなかなかにハイカラな料理。しかも、文面はおろか見出し見るだけで、美味しいことはたやすく想像できます。当然、実作です。
この投書によると、作り方は
皮をむいたゴボウをさっとゆで、ウスターソース100mlにしょうゆ、砂糖を各大さじ1杯、赤唐辛子1本を加えて炊く。
とのこと。
ゴボウの分量は不明ですが、この調味料の分量から察するに、3本くらい入った1パックで丁度いいかと思います。
実作時には、調味料に適量の水を加えて、ある程度ごぼうが柔らかくなるよう30分くらい煮て、最後に煮汁を煮詰めて絡めるようにしてみました。ソースの香辛料の香りと酸味でごぼうの甘さが引き出され、その一方でアクがアクセントになって、予想通りにうまいです。
ただ、上記の作り方ではちょっと味が濃かったので、きんぴら風の味わいを目指さないのなら、薄めで入った方がベターかと。自分でこれから作る時には、飲める程度の煮汁でじんわりと煮含めて、甘くやわらかくごぼうが仕上がった所で、濃い味をつけて煮詰めて絡める、という方法でいこうと思います。
あと、オリジナルにないアレンジとしては、半量はバターでモンテしてみました。これは個人的に必須です。というのも、福井の洋食系ソースかつ丼にしても、百年食堂風ソースカツ焼き飯にしても、動物系なあぶらの風味はソース系の味わいに芯を通し、深めるために欠かせません。
今回、ソースはカゴメとヒカリを50:50で使用しましたが、おかず目的かお酒のお伴か、食べ手の好みがどうか、などによってソースを使い分けるのも楽しそうです。
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