あえてこの蔵のエントリ・タイトルにはアビタシオン(habitation)とつけました。なぜかというと、商品についている新しいロゴがHSE(habitation sant-etienne)の頭文字を取ってデザインされているから。
ほかには、クレマンなども施設名にアビタシオンとついています。PCにデータを入れているクラウン仏和辞典を引くと「住居、居住」などという意味が出ていますが、意味合いとしては「(プランテーションの)農園」が近いのではないかと。
さて、この蔵。場所は、大西洋岸のトリニテ(la trinite)から、サンジョセフ(saint joseph)を目指し、グロ・モルヌ(gros morne)を過ぎてしばらく走ったあたり。田舎の町と町をつなぐ道沿いですが、そこはそこ、「アビタシオン」なので、敷地に入ると、いかにも「農園」といった雰囲気の空気が漂い始めます。
ちいさな規模の蔵ですが、蒸留所関係者の私的な施設とおもわれる建物が花に包まれている様子とか、ちょうど見学中に見舞われた通り雨とか、その通り雨に曇るすこし離れたところの椰子の木とか。農園や蒸留所プラスαの部分にも、プランテーション感はみちみちています。
ここもクレマンなどと同様、蒸留はしていません。1984年に蒸留施設は閉鎖され、ほかの蒸留所から買っているとのこと。敷地内には、ラムを熟成する酒蔵やボトル詰めの施設、そしてかつて使われていた蒸留施設の跡形もみることができます。
蒸留はしていない蔵の場合、足はまず酒蔵へと向かいます。酒蔵の建物は、白壁または石積みの壁に、赤茶けた色の扉と、煉瓦ともマッチする落ち着いた風合いです。
貯蔵している蔵は閉まっていましたが、ボトリング前とみられる蔵が開いていました。見学コースのととのっている蔵にはない、ヅカヅカと踏み込む(でも、ちゃんと会社の人に、みていいですか?って聞いていますよ)この瞬間の心のウキウキ感。
そこで、ラムの香りと揮発したアルコールで育ったシャンピニョン(黴)の黒、そしてガラスの管に覗くこの色。言うことはありません。
使用している樽は、たしかバーボン樽と言っていたような…。というのも、蔵をみていたところで、突然の雨。メモした文字が濡れてしまったのです。でも、買ってきたvsopの味わいは、たしかにそうかも、って思えるスジの通った味わいです。
今は使われていない蒸留施設も、外壁などは酒蔵と同じトーンの風情。
屋根などはなくなっているけど、ムーランなども扉と同じ煉瓦色。内陸部にありながら、空の開けた立地と相まった農園の風情ともども、かつて蒸留されていたラムはどんな味わいだったのだろうかと想像を駆り立てられます。
訪問時、ボトリング施設は稼働中。ブランのラムが入っているのかとおもわれるタンクとあわせ、新しくきれいな施設なのですが、その片隅で目を引いてやまなかったのが、冒頭の写真の段ボール箱。そう、ここはHSEのロゴが印刷されたニューデザインの箱やボトルが、矢鱈にかっこいいのです。
vsopを一本購入したのも、味もさることながら(基本的にバーボン樽系は好み)、この外箱やボトルに惹かれた部分も、かなり大きかったりして。
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